豪華メンバー6人が起こす化学反応!挾間美帆×滝千春の新プロジェクト「MaNGROVE」が始動

左:挾間美帆 右:滝 千春 ©KOHÁN

 異なるジャンルで世界的に活躍するヴァイオリニストの滝千春とジャズ作曲家の挾間美帆がタッグを組んだ! 人(Man)が紡ぐグルーヴィー(Groovy)な音楽を届けたいという思いから「MaNGROVE(マングローヴ)」という全く新しいプロジェクトを立ち上げたのだ。

挾間「共通の知人が当時ドイツにいて、ベルリンに来るなら絶対に気が合うから!と紹介してくれたのが滝さんでした」

「その数年後、東京オペラシティの『B→C』に出演することになった際、挾間さんに新曲を委嘱して。それからも交流は続いていたのですが、やっと一緒にツアーをすることが叶います」

 出演者は実に豪華。挾間のピアノとも共演経験のあるヴァイオリニスト山根一仁に、若手チェリストの筆頭格・佐藤晴真、そして滝が惚れ込むルオシャ・ファンのヴィオラという顔ぶれで弦楽四重奏が組まれる。

「ルオシャは数年前にブダペストの音楽祭で出会ったヴァイオリニスト兼ヴィオリストで、全くもって誰とも似通っていない自分の音楽をクリエイトする、いつもサプライズを与えてくれるような音楽家です。佐藤くんは色んな物事を立体的にとらえて、音楽を構築していける。山根くんも含めて、絶対に良い化学反応が起きるなと確信しています」

 そこにジャズとクラシックのどちらも完璧に弾きこなすコントラバスの木村将之と、ピアニストとして挾間が加わるのだが、プログラムには六重奏以外の様々な編成も並ぶ。

挾間「この編成にした理由は、星座など、空間に作られる形を題材にした組曲『Space in Senses』の六重奏版を再演して、新たな可能性を見出したいという思いが非常に強くあるからです。他にモルゴーア・クァルテットのために作曲した『CHIMERA』という曲は、ヴァイオリンとピアノのデュオで山根くんと再演したこともあるんですけど、今回はやっぱりオリジナルの四重奏で演奏してほしいなと」

 もちろん、取り上げられるのは挾間作品だけではない。

挾間「デビュー以来、自分で作編曲した曲以外をピアノで弾くことはほぼなかったんですけど、今回は敬愛するクラウス・オガーマンが編曲したチャップリンの『スマイル』も、滝さんと私のふたりで演奏しようと思っています。私自身、編曲という仕事をしていていつも気をつけているのは、アレンジャーが手を加えすぎて原曲の良さを潰してしまうことです。ところが、このオガーマンのアレンジはチャップリンの原曲から大きく変えすぎているほどなのに、あまりにも素晴らしくて、編曲の極致にあるような作品なんですよ! 私も滝さんも大好きなプロコフィエフの『ロメオとジュリエット』をアレンジして六重奏で取り上げるので、こちらは原曲の良さを残しつつ、今回のテーマであるグルーヴィーな部分を付け足せたらと考えています」

「プロコフィエフが並べる音符は私には言葉として届いて、何らかのストーリーがあるように聴こえるんです。それはサウンドが全く違っていても挾間さんの音楽にも共通していると思っていて、どちらも聴いていると何かしらが想像できるからこそ凄く共感できるのではないでしょうか」

 音楽好きなら誰もが楽しめる特別な公演になること間違いなし。プログラムが異なる日もあるので、公演内容を要チェックだ!

取材・文:小室敬幸

(ぶらあぼ2025年11月号より)

Miho Hazama & Chiharu Taki project
MaNGROVE Japan Tour 2026
2026.1/17(土)14:00 小金井 宮地楽器ホール(042-380-8099)
1/20(火)19:00 大阪/ザ・フェニックスホール(KCMチケットサービス0570-00-8255)
1/22(木)19:00 京都コンサートホール アンサンブルホールムラタ(otonowa 075-252-8255)
1/24(土)15:00 八ヶ岳高原音楽堂(0267-98-2131)
1/25(日)16:30 19:30 BLUE NOTE TOKYO(03-5485-0088)
https://mangrovemusic.jp
※公演によりプログラムは異なります。詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。


小室敬幸 Takayuki Komuro

1986年、茨城県出身。東京音楽大学で作曲を学んだ後、同大学院では音楽学を専攻。修了後は大学の助手と非常勤講師を経て、現在は音楽ライター。クラシック音楽、現代音楽、ジャズ、映画音楽を中心に演奏会やCDの曲目解説、雑誌やWEBメディアにインタビュー記事を執筆。また、現在進行形のジャズを紹介するMOOK『Jazz The New Chapter』にも寄稿している。共著に『聴かずぎらいのための吹奏楽入門』『ピアノへの旅』。