注目のブランギエが東京フィルとの初めての共演を果たす。28歳でチューリッヒ・トーンハレ管の首席指揮者に就任したことが大きな話題となった、ニース生まれのフランス人指揮者だ。東響やN響へも客演、洗練された色彩感覚を披露し、再来日が待望されていた。
今回は、2つのプログラムを用意。12月1日は、巨匠ミハイル・プレトニョフと共演、ショールとプレトニョフの共作によるピアノと管弦楽のための組曲第2番を演奏する。特別客演指揮者として東京フィルとは縁が深いプレトニョフ。息の合った演奏が期待できるはず。後半のムソルグスキーの「展覧会の絵」は、ラヴェル編曲ならではの華麗な色彩に満ちあふれることだろう。
その3日後、4日には俊英ベフゾド・アブドゥライモフと共演。上から下まで鳴らし切るダイナミックなパフォーマンスが評判を呼ぶ、ウズベキスタン生まれのピアニストだ。ショールのピアノ協奏曲第1番、ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」を演奏する。ブランギエが得意とするラヴェル作品、「ダフニスとクロエ」第2組曲では、精密ながらも起伏豊かな演奏を期待したい。
2つのプログラムでキーマンとなる作曲家アレクセイ・ショールは、ウクライナ生まれでニューヨークを中心に活躍。数学者、ヘッジファンドの辣腕社員を経て、40代で突然音楽の世界へ飛び込んだ。有名演奏家との親交も深く、そうしたコラボレーションとして生まれた作品はロマンティシズムあふれる作風が特徴だ。
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2024年11月号より)
リオネル・ブランギエ(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団
2024.12/1(日)、12/4(水)各日19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212
https://www.japanarts.co.jp
※公演によりプログラムは異なります。詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。