楽団を支えてきた名手たちのソロで節目を祝う
幅広い世代の名演奏家が集い、独自の活動を展開している「アンサンブル of トウキョウ」。1986年の結成以来、年4回の定期演奏会を開催している。本年初回の3月公演で節目の第150回を迎えることになり、全曲指揮者なしで、楽団メンバーがソリストを務める協奏曲が並ぶ、同団らしさ満点のプログラムが用意された。
1曲目はサリエリのフルートとオーボエのための協奏曲。ソリストは「アンサンブル of トウキョウ」代表を務めるオーボエの青山聖樹と、創設者の金昌国に師事したフルートの村上成美。サリエリのような演奏機会の稀少な作曲家にスポットを当て、その作品の真価を名人たちが示すのも彼らならではの取り組み。
2曲目はベートーヴェンの弦楽四重奏曲第11番「セリオーソ」弦楽合奏版。同団の誇る豪華弦楽器奏者たちの名技と表現を、最高水準のアンサンブルで堪能できるはずだ。
3曲目はブラームスのヴァイオリン協奏曲。ソリストはもちろん、「アンサンブル of トウキョウ」の顔である玉井菜採。日本を代表するアーティストのひとりである玉井は、同団と多くの協奏曲で協演してきて、3年前のベートーヴェンの名演奏は語り草になっている。加えて言えば、バッハの無伴奏をはじめとするドイツものについて、いま最も聴きたいヴァイオリニストが玉井であり、彼女のブラームスとなればまさに必聴。手練れのそろった仲間たちのオーケストラとともに、深みと熱さを兼ね備えたブラームスが作り上げられるのは間違いない。3曲とも充実の時間が約束されている。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2024年3月号より)
2024.3/17(日)14:00 紀尾井ホール
問:アンサンブル of トウキョウ事務局045-595-0223
https://www.ensembleoftokyo.com