フレッシュ名曲コンサート 太田 弦 × 中野りな × 東京交響楽団

煌めく若き才能による熱きコラボレーション

左:太田 弦 ©ai ueda
右:中野りな ©kisekimichiko

 めぐろパーシモンホールで3月に開催される「フレッシュ名曲コンサート」では、若手指揮者の注目株・太田弦と、仙台国際音楽コンクールのヴァイオリン部門において史上最年少の17歳で優勝した中野りなが登場する。オーケストラは東京交響楽団。プログラムはシベリウスの交響詩「フィンランディア」、ヴァイオリン協奏曲、そしてチャイコフスキーの交響曲第5番という親しみやすい名曲揃いだ。

 日本音楽コンクール、仙台国際音楽コンクールいずれも抜群の実力を発揮した中野は桐朋学園大学で学んでいる。その両方のコンクールを聴いたが、作品の理解が深く、作曲家の核心に迫ろうとする演奏時の高い集中力が印象的だった。太田は1994年生まれながら、すでに日本各地のオーケストラに客演などを重ねて信頼を得ており、東響では2022年3月に急遽代役としてベートーヴェンの交響曲第7番を振り、大きな喝采を浴びた。今年4月から九州交響楽団の首席指揮者になることも発表されている。

 シベリウスのヴァイオリン協奏曲は人気のある作品だが、実際にはソリストとオーケストラの協力がとても重要な要素となる。若いふたりの共演によって、この協奏曲の新しい魅力が煌めく予感がする。もちろんチャイコフスキーの交響曲第5番もスケールの大きな作品で、太田が東響からどんな音を引き出すのかにも注目したい。日本の若き才能を存分に楽しむコンサートとなるだろう。
文:片桐卓也
(ぶらあぼ2024年3月号より)

2024.3/16(土)15:00 めぐろパーシモンホール
問:めぐろパーシモンホールチケットセンター03-5701-2904 
https://www.persimmon.or.jp