3人の鬼才が集った強烈なアルバム。コンセプト云々よりも、コパチンスカヤの怪物的パフォーマンスに唖然、他の2人も劣らぬ怪人ぶり。プーランク「城への招待」の楽曲が“プロムナード”となって、バルトークやプーランクらの作品をつないでいく構成だが、どの曲も気楽さと無縁、奇怪な奏法や声も駆使し、目の回るような展開でこってりした演奏が連続する。この編成の代表作「コントラスツ」さえ初めて聴く曲のよう。最後の「クレズマー・ダンス」の異様な狂騒ぶりにはもはや恐怖心さえ。新しい体験を求める人には痛快、そうでない人も耳が離せなくなること請け合い。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2024年3月号より)
【information】
CD『Take 3/パトリツィア・コパチンスカヤ&レト・ビエリ&ポリーナ・レシチェンコ』
プーランク:「城への招待」より/シェーンフィールド:クラリネット ヴァイオリン ピアノのための三重奏曲/バルトーク:ヴァイオリン クラリネット ピアノのためのコントラスツ/ニキフォル:クレズマー・ダンス 他
パトリツィア・コパチンスカヤ(ヴァイオリン)
レト・ビエリ(クラリネット)
ポリーナ・レシチェンコ(ピアノ) 他
Alpha/ナクソス・ジャパン
NYCX-10446 ¥3300(税込)