若き俊英らが絢爛な名曲で新たな年を寿ぐ
お正月の東京文化会館恒例となっている「《響の森》 ニューイヤーコンサート」。まずはソリストとして登場する前田妃奈(ヴァイオリン)に注目。2022年10月のヴィエニャフスキ国際ヴァイオリン・コンクール(ポーランド)で優勝に輝いた21歳。同コンクールでの日本人の優勝は1981年の漆原啓子以来という快挙だった。東京文化会館が主催する2020年の東京音楽コンクール弦楽部門優勝者でもある。彼女が弾くのはヴィエニャフスキの「グノーの《ファウスト》による華麗なる幻想曲」とサラサーテの「カルメン幻想曲」。超絶技巧を喜色満面で弾きこなす前田の、曲の感情と一体となってはじけるような音楽表現に引き込まれるはず。
オーケストラは原田慶太楼指揮の東京都交響楽団。《キャンディード》と《こうもり》というワクワクする2つの序曲の対照を軸に、バーンスタインとJ.シュトラウスIIを併置する卓抜な構成。『ウエスト・サイド・ストーリー』が、「シンフォニック・ダンス」ではなくジャック・メイソン(1906〜1965)編のオーケストラ・セレクションなのがいい。〈マリア〉〈トゥナイト〉〈ワン・ハンド・ワン・ハート〉〈アメリカ〉などの名曲が次々に登場するおいしいところどり7曲メドレー。そして“ニューイヤー”といえばこれでしょ! のシュトラウス「美しく青きドナウ」。オペラ、オペレッタ、ミュージカルがかろやかに交錯して、年の始めを楽しく賑やかに!
文:宮本 明
(ぶらあぼ2023年10月号より)
2024.1/3(水)15:00 東京文化会館
問:東京文化会館チケットサービス03-5685-0650
https://www.t-bunka.jp