国内外から豪華アーティストが春の宮崎に集結!
南国・宮崎に音楽が咲き誇る季節が、今年も巡ってくる。20世紀の名ヴァイオリニスト、アイザック・スターンが蒔いた種が芽吹き、やがて毎年、大きな実りをもたらすこととなった「宮崎国際音楽祭」。28回目となる今年は「わたしの音に出会う旅」をテーマに、4月28日から5月14日まで、メディキット県民文化センター(宮崎県立芸術劇場)を主会場として開催される。
「豊かな心の表現を伴った音楽を」との理念のもと、日本を代表するヴァイオリニスト・徳永二男が、“最後の巨匠”と言われたスターンを招請し、「宮崎国際室内楽音楽祭」としてスタートしたのは1996年。地元はもとより、全国各地からやって来るファンに支持されて回を重ねてきた。今年も徳永が音楽監督を務め、「自分がここでどんな音に出会えるだろうかと考えて、感じることができるような音楽祭に」(総監督の佐藤寿美)との思いをハーモニーに託す。
宮崎国際音楽祭の軸となる「メインプログラム」は全5公演。うち2公演では、今や当音楽祭の“常連”となっているヴァイオリンの巨匠、ピンカス・ズーカーマンが軸に。ピアノのシャイ・ウォスナーとのリサイタルでは、モーツァルトの第32番とベートーヴェンの第7番、2つの名ソナタを披露。そして、ヴィオラに持ち替えて、ヴァイオリニストの三浦文彰をゲストに迎え、モーツァルトの二重奏曲 ト長調 K.423も弾く(5/12)。
さらに、ズーカーマンは指揮者としても登場し、特別編成の宮崎国際音楽祭管弦楽団を振る。まずは、モーツァルトのロンド ハ長調 K.373を“弾き振り”で披露。そして、ウォスナーをソリストに迎えてベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番と、愛惜の念と情熱が交錯するチャイコフスキーの交響曲第4番を紡ぐ(5/13)。
作曲家でピアニストの野平一郎の監修/指揮・ピアノによる「エクスペリメンタル・コンサート」は、「スクリーンの向こう側」と題して、サン=サーンスからジョン・ウィリアムズまで、映画と音楽の関係を掘り下げる(4/30)。また、ヴァイオリニストの諏訪内晶子の構成・選曲による「室内楽スペシャル」では、豪華な顔ぶれによるブラームスの第1番とチャイコフスキー、2つの弦楽六重奏曲に、バッハの無伴奏作品を組み合わせる(5/6)。
そして、音楽祭の掉尾を飾るステージとなるのが、ヴェルディの歌劇《仮面舞踏会》(全3幕、コンサート形式、字幕付き原語上演)。中村恵理(アメーリア)や宮里直樹(リッカルド)、池内響(レナート)、盛田麻央(オスカル)、福原寿美枝(ウルリカ)ら日本が誇る実力派キャストを、広上淳一指揮の音楽祭管弦楽団&合唱団がバックアップ。仮面舞踏会での暗殺劇を巡る愛憎と赦しを描き出す(5/14)。
一方、全6公演が行われる「スペシャルプログラム」の中での注目は、45年間にわたってウィーン・フィルのコンサートマスターを務めたライナー・キュッヒルが、“音楽の都”ゆかりの名旋律をたっぷりと聴かせる「ウィーン、わが夢の街」(5/10)。アナウンサーの弘中綾香(4/28)、義理の母娘でもある料理愛好家の平野レミと女優の上野樹里(5/5)、俳優の高橋克典(5/7)など、多彩なゲストを迎えてのステージも楽しみだ。また、1日のうちに開かれる7つのステージが、どれもワンコインで楽しめる恒例の「500円コンサートの日」(5/3)も開催。さらに、子どもが対象の公演、上野耕平らによるサクソフォン四重奏(5/1、川南町)や、ヴァイオリン会田莉凡やソプラノ宮地江奈ら7人の女性音楽家を軸としたステージ(5/4、延岡市)といった、サテライト公演も開かれる。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2023年5月号より)
2023.4/28(金)~5/14(日) メディキット県民文化センター(宮崎県立芸術劇場) 他
問:宮崎国際音楽祭事務局0985-28-3208
http://www.mmfes.jp
※各公演、チケット発売状況の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。