第3代音楽監督とともに盛大に祝う記念イヤー
創立50周年を迎えた新日本フィルは「過去に思いを馳せ、未来に繋ぐ」をコンセプトに節目のシーズンを迎えている。7月の定期演奏会では、第3代音楽監督のクリスティアン・アルミンクが招かれる。アルミンクは2003年から13年まで新日本フィルの音楽監督を務めた功労者。若くして抜擢された際は大きな話題を呼んだ。また、2011年から19年にかけてベルギー王立リエージュ・フィルの音楽監督を務めている。経験を積んだ元音楽監督の帰還に胸を躍らせる方も多いことだろう。
プログラムはバルトークの「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」とオルフの「カルミナ・ブラーナ」。両曲はともに1937年に初演されたという共通項を持つ。バルトーク作品は独自の編成からこれまでにない響きを生み出した理知的な楽曲、オルフ作品は世俗的な題材をもとに人間の根源的な喜びにフォーカスした情熱的な楽曲。そんな対照性を見て取ることも可能だろう。
「カルミナ・ブラーナ」ではパワフルな合唱団の活躍が欠かせない。実力者ぞろいの二期会合唱団に流山少年少女合唱団、柏少年少女合唱団が加わる。ソプラノに今井実希、テノールに清水徹太郎、バリトンに晴雅彦が配され、万全の声楽陣とオーケストラが一体となって、壮麗な音のスペクタクルを築く。冒頭の有名な「おお、運命の女神よ」が最後にふたたび帰ってくる瞬間は、なんど体験してもぞくぞくする。記念イヤーにふさわしい名演を期待したい。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2022年7月号より)
第642回 定期演奏会
〈トリフォニーホール・シリーズ〉
2022.7/9(土)14:00 すみだトリフォニーホール
〈サントリーホール・シリーズ〉
2022.7/11(月)19:00 サントリーホール
問:新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815
https://www.njp.or.jp