愛知県芸術劇場・東京文化会館・iichiko総合文化センター・東京二期会・読売日本交響楽団・名古屋フィルハーモニー交響楽団 共同制作 グラインドボーン音楽祭との提携公演 R.シュトラウス:《ばらの騎士》

話題のオペラがいよいよ愛知で上演!


 7月に東京二期会が上演した《ばらの騎士》では、邦人勢の好調な喉とリチャード・ジョーンズの鮮やかなステージングが注目されたが、中でも話題を呼んだのは、帝都ウィーンの上流階級の物腰を、パステルカラーの装置のもと、より和らげて伝えた演出である。主な登場人物が「心は貴族、でも振る舞いは現代的に」演じた結果、ドラマが幅広い世代から共感されたのだ。
 そして10月、この名演出が愛知で改めて披露される運びに。中部圏のオペラの殿堂、愛知県芸術劇場で、日本が誇る名歌手が一堂に会する。元帥夫人役はまろやかで豊かな響きの林正子と熱い声音の森谷真理、彼女に恋する青年オクタヴィアンは颯爽とした小林由佳とフレッシュな澤村翔子、若者に一目ぼれする少女ゾフィーは人気抜群でチャーミングな幸田浩子と爽やかな新星の山口清子がダブルキャストで競演する。その一方で、物語を引っ掻き回す「お茶目な敵役」オックス男爵役では、太い声音と若さを誇る大塚博章と共に、近年めきめきと頭角を現す狩野賢一が登場とのこと。後者はいわゆる大抜擢だけに、晴れの舞台が今から関心を集めている。
 なお、今回指揮台に立つのは練達の老匠ラルフ・ワイケルト。このマエストロが名古屋フィルハーモニー交響楽団をどう纏めるか、ファンなら見逃せないだろう。美声テノールの中島康晴もイタリア人歌手役で彩りを添えるこのステージで、音響の魔術師R.シュトラウスの壮麗な音楽美を堪能してみよう。
文:岸 純信(オペラ研究家)
(ぶらあぼ2017年10月号より)

2017.10/28(土)、10/29(日)各日14:00 愛知県芸術劇場 大ホール
問:愛知県芸術劇場052-971-5609 
http://www.aac.pref.aichi.jp/gekijyo/syusai/

他公演
2017.11/5(日) iichiko総合文化センター iichikoグランシアタ(097-533-4004)