樫本大進(ヴァイオリン) & アレッシオ・バックス(ピアノ)

同世代デュオの直感が共鳴しあう特別の選曲


 ソリストとして、室内楽奏者として、さらにはベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の第1コンサートマスターとして、幅広く豊かな演奏活動を続けている樫本大進。その樫本が「互いに刺激を受けながら、その時にしか生まれない特別なもの」を生み出すパートナーとして選んだ、イタリアのピアニスト、アレッシオ・バックス。同年代の2人によるデュオは日本全国7ヵ所を巡る演奏ツアーを行うが、東京では7月12日に、横浜では同月16日にその充実した音楽が聴ける。
 モーツァルト、ブラームス、シマノフスキ、グリーグ(7/12)、そしてラヴェル(7/16)という、一見すると関係性が薄い5作品ではあるが、これを結び付けているのは樫本の「楽器に触れた瞬間の直感的なインスピレーションを、聴き手に届けたい」という思いであり、食べることが好きだという2人が贈る、“多彩な料理のコース”だともいえるだろう。「異なる作風の音楽を並べることでコントラストが生まれ、共通する美意識と新しい何かの創造が期待できる」というバックスのコメントにもうなずける。
 これまでにも多くの音楽祭などで室内楽を演奏し、2015年には台湾でデュオのツアーを実施。互いの理解をさらに深めたという2人だが、ゆっくりと、しかし確実に醸成してきたデュオとしての音楽があるからこそ、今回のツアーへつながったといえるだろう。ゆえに2人にとっては室内楽の理想を現実化するステージでもあり、私たちにとっては新しい音楽の愉悦を体験できるチャンスとなるのだ。
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ 2017年6月号から)

7/12(水)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040
7/16(日)14:00 横浜みなとみらいホール
問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040/神奈川芸術協会045-453-5080
※全国公演の詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。 
http://www.japanarts.co.jp/