バッハ・コレギウム・ジャパン ベートーヴェン「ミサ・ソレムニス」

BCJが満を持してベートーヴェン畢生の大作に挑む

 鈴木雅明&バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)が東京オペラシティ コンサートホールで満を持してベートーヴェンに取り組む。しかも作品は、交響曲第9番と並ぶ畢生の大作「ミサ・ソレムニス」だ。鈴木はこれまでに海外のオーケストラでベートーヴェンの交響曲をいくつか指揮しているが、BCJは演奏会でベートーヴェンを取り上げること自体今回が初めてである。鈴木は「ここ数年、バッハの『ロ短調ミサ』やモーツァルトの『ハ短調ミサ』の演奏を経て、ベートーヴェンに充分にアプローチできる感触を得ていた」という。
 「ミサ・ソレムニス」は、交響曲第9番とほぼ同じ時期に書かれた傑作にもかかわらず、「第九」よりも演奏機会がずっと少ない。その上、古楽器による演奏は本当に珍しく、今回の上演は貴重というほかない。ティンパニや軍隊ラッパによる戦争の音楽、それに対して合唱が「我らに平和を与え給え」と歌う。コンサートマスターの長大な独奏も聴きどころだ。BCJがどれだけベートーヴェンのオリジナルに近づくのかに注目である。鈴木も「古楽器でベートーヴェンの思い描いたはずの響きに少しでも『近づきつつ』演奏することの意義は、計り知れない」と力を込める。
 独唱には、アン=ヘレン・モーエン、ロクサーナ・コンスタンティネスク、ジェイムズ・ギルクリスト、ベンジャミン・べヴァンと、鈴木の信頼の厚い歌手たちが招かれる。
 鈴木雅明&BCJにとって、新たな、そして大きな一歩となるベートーヴェン「ミサ・ソレムニス」を聴き逃すわけにはいかない。
文:山田治生
(ぶらあぼ 2017年1月号から)

2017.2/3(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999
http://www.operacity.jp/