京響スーパーコンサート タン・ドゥン × 京都市交響楽団 WATER SPIRIT

京都に響く“水の音楽”

タン・ドゥン
タン・ドゥン

 京都コンサートホールが開館20周年を記念して、意欲的な企画を打ち出している。9月の京都市響とのコラボ企画「京響スーパーコンサート」では、作曲家・指揮者として世界を股にかけ活躍するタン・ドゥンの指揮で、“水”をテーマに考え抜かれたプログラムを演奏する。
 タン・ドゥンはナチュラルな思考から生まれる大胆な作風で知られている。今回演奏される「水の協奏曲」のソロ楽器、水盤の表面をぴちゃぴちゃと叩くウォーター・パーカッションは、タン・ドゥンならではのオーガニックな世界観を反映したものだ。独奏者・藤井はるかは、本作をすでにイタリアで演奏しており、作曲家からも厚い信頼を得ている。
 武満徹に捧げられたこの「水の協奏曲」に続き、今度は武満の水をテーマにした「ウォーター・ドリーミング」が、京都市響首席フルート奏者・清水信貴をソリストに演奏される。シャーマニスティックな衝撃力が魅力のタン・ドゥンと、イマジネーションによってコンサートホールを詩的な空間へと変える武満との作風の違いにも耳をそばだててみよう。
 コンサートの冒頭にはとめどない水の流れを描いたスメタナ「モルダウ」、最後に海洋国・英国の作曲家ブリテンが海の多彩な表情を描いた「四つの海の間奏曲」が演奏される。そう、これは京都・平安京がモデルにしたという唐の都・長安(現・西安)との絆を、水を架け橋にして現代に甦らせようというコンセプトで組まれたプログラムなのだ。川を軸に発展した両市、近年は姉妹都市として友好関係を築いている。その絆を寿ぐ、まさに水づくしの演奏会だ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年9月号から)

9/19(土)14:00 京都コンサートホール
問:京都コンサートホール・チケットカウンター075-711-3231 
http://www.kyoto-ongeibun.jp/kyotoconcerthall