現代の“スタンダードな”バッハ演奏をめざす
ドイツに学び、数々の国際コンクールで実績を重ねて、30年以上にわたってヨーロッパで活動した実力派ピアニスト、樋口紀美子。東京デビュー40周年とアルバム『J.S.バッハ:インヴェンションとシンフォニア』リリースを記念したリサイタルの第2弾を開く。満を持してバッハと対峙したアルバムでは、バロック特有の様式感とモダン・ピアノならではの幅広い表現を見事に両立させる快演を披露した。さらに、「全曲を弾くこと、聴くことで見えてくる世界がある」とも述べた樋口。
今回は、収録作品である「インヴェンション」全15曲と、ショパン「バラード」全4曲を軸に。ここへ「多くの人に聴いてほしい」と彼女が願う、叔父である夭折の作曲家・乾春男(1929-49)の作品から「ソナタ変ロ長調」を挟み込む。好評を得た4月の第1弾リサイタル(バッハ「シンフォニア」全曲、乾の2曲、ショパン「12のエチュード」op.10全曲)とは、まさに表裏一体を成すラインナップ。前回に続き、オンデマンド配信も予定している。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2021年9月号より)
2021.9/7(火)19:00 東京文化会館(小)【配信あり】
問:ミリオンコンサート協会03-3501-5638
http://www.millionconcert.co.jp