【CD】シェエラザード/名古屋ダブルリードアンサンブル

 名古屋フィルの首席オーボエ奏者を長年務めた山本直人が主宰する、オーボエ属とバスーン属のみ9人編成のアンサンブルの4枚目のアルバム。中部地方の名手たちが集って2002年から恒常的に活動しているがゆえのまとまりの良さと音色の統一感が光るし、こうした楽器特有の歯切れ良さも耳を楽しませる。オーボエ・ダ・モーレを含む多様な個性を巧みに組み合わせた楽器用法も秀逸。特に「シェエラザード」は新感覚の木管作品として再創造されており、それでいて音楽の流れはごく自然である点が素晴らしい。ダブルリード楽器の魅力の再発見を促す興味深い1枚。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2021年9月号より)

【information】
CD『シェエラザード/名古屋ダブルリードアンサンブル』

リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」、歌劇《皇帝サルタンの物語》より〈くまんばちの飛行〉/ボロディン:歌劇《イーゴリ公》より〈だったん人(ポロヴェツ人)の踊り〉(以上山本直人編)

名古屋ダブルリードアンサンブル

妙音舎
MYCL-00018 ¥3300(税込)