ロータというと『ゴッドファーザー』や『ロミオとジュリエット』など、映画音楽の作曲家と思っている人も多いだろうが、オペラや交響曲をはじめ多彩な楽曲を残した本格派。パユ、メイエ、ル・サージュ、樫本大進ら気心知れたスーパースターたちが集い、知られざるロータの室内楽曲を紹介する一枚を編んだ。優雅なディヴェルティメントともいうべき九重奏曲を核に、編成の異なる二つのトリオ、ピアノ独奏（ワルツと前奏曲）など、幅広い作品が取り上げられている。ユーモアやウィットに富み、朗らかなメロディーにあふれるその世界は、20世紀に蘇ったモーツァルトのように生き生きとしている。
文：江藤光紀
（ぶらあぼ2021年9月号より）
【information】
CD『ニーノ・ロータ：室内楽作品集／樫本大進＆エマニュエル・パユ 他』
ロータ：フルート ヴァイオリンとピアノのための三重奏曲、BACHの名による2つのワルツ、ささやかな音楽の捧げ物、九重奏曲、チェロ クラリネットとピアノのための三重奏曲、15の前奏曲より
樫本大進（ヴァイオリン）
ホアキン・リケルメ・ガルシア（ヴィオラ）
クラウディオ・ボホルケス（チェロ）
エマニュエル・パユ（フルート）
ポール・メイエ（クラリネット）
エリック・ル・サージュ（ピアノ） 他
Alpha/ナクソス・ジャパン
NYCX-10230 ¥2970（税込）