1年の延期の末、5月に開催されたエリザベートコンクールピアノ部門入賞者6名のライブ盤。優勝したフルネルによるブラームスのピアノ協奏曲第2番は、芯のある輝かしい音が印象的な堂々たる演奏。話題の日本人入賞者、第3位の務川慧悟はモーツァルトの協奏曲第27番ほか。柔らかく気品あふれる音でオーケストラとの掛け合いを楽しむ、生き生きとした音楽を聴かせる。第4位の阪田知樹はリストのロ短調ソナタ。スケールの大きなドラマがのびのびと描かれ、作品への心からの共感が伝わる。無観客という異例の形での開催の記憶が、選りすぐりの演奏とともにクリアな音で収められている。
文：高坂はる香
（ぶらあぼ2021年8月号より）
【information】
CD『エリザベート王妃国際音楽コンクールピアノ部門2021／務川慧悟、阪田知樹 他』
ブラームス：ピアノ協奏曲第2番／マントヴァーニ：妖精の庭から（ファイナル新作課題曲）／ジョドロフスキ：夜想曲（セミ・ファイナル新作課題曲）／ラフマニノフ：ピアノ協奏曲第3番／モーツァルト：ピアノ協奏曲第23番、同第27番／リスト：ピアノ・ソナタ ロ短調 他
ジョナタン・フルネル セルゲイ・レドキン 務川慧悟 阪田知樹 ヴィタリ・スタリコフ ドミトリ・シン（以上ピアノ） 他
収録：2021年5月、ブリュッセル（ライブ）
ナクソス・ジャパン
QEC2021（4枚組） ￥オープンプライス