1998年生まれのピアニスト黒沼香恋のデビュー盤。国内外のコンクールで上位入賞を重ね、活躍が期待されている。昨年のコロナ禍では、大友直人指揮、東京交響楽団による無観客ライブのソリストに抜擢され、ラヴェルのピアノ協奏曲の独奏を披露した。本作にはその全3楽章のほか、ドビュッシー、ラヴェル、プーランクの独奏曲を収めた。圧巻はプーランクの「ナゼルの夜会」。ファーストアルバムとは思えないほどの堂々たる弾きっぷりで、成熟した響きと、フランスものらしい洒脱さで、「前奏曲」から「終曲」までの全11曲のユニークなキャラクターを描き切る。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2021年5月号より)
【information】
SACD『フランスの夜会/黒沼香恋』
ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調、ラ・ヴァルス、亡き王女のためのパヴァーヌ/ドビュッシー:「ベルガマスク組曲」より〈月の光〉/プーランク:ナゼルの夜会
黒沼香恋(ピアノ)
大友直人(指揮)
東京交響楽団
収録:2020年3月 ミューザ川崎シンフォニーホール(ライブ) 他
オクタヴィア・レコード
OVCT-00183 ¥3520(税込)