松井秀太郎・ナカリャコフ・西村大地・児玉隼人が集う真夏の「トランペットの祭典」!

左より:松井秀太郎 ©Tadayuki Minamoto/セルゲイ・ナカリャコフ ©Thierry Cohen/西村大地 ©Yuji Hori/児玉隼人 ©Yuji Ueno

 いまトランペット界が熱い。それは新時代の名手が続々登場しているからだ。“人類史上最高”と称えられる世界的スター、セルゲイ・ナカリャコフとそうした若き人気奏者たちが一堂に会する前代未聞の華やかなフェスティバル「トランペットの祭典」が、全国7会場で開催される。

 ナカリャコフは圧倒的な技巧と高い音楽性で知られるスーパー奏者。信じ難いほどの演奏テクニックと柔らかく美しい音色で“トランペット界のパガニーニ”とも呼ばれている。トランペット用の作品はもちろん、ヴァイオリンのための超絶技巧曲、フリューゲルホルンによるチェロやホルンのための作品演奏でも高い評価を得ているのが、彼ならではの凄さ。その妙技は管楽器ファン以外の聴き手をもとりこにしており、まずは彼の演奏に触れられるのが大きな魅力だ。

 日本の名手・一番手は松井秀太郎。1999年生まれの彼は、国立音楽大学ジャズ専修を首席で卒業し、ソロやデュオ、自らのカルテットの公演のほか、オーケストラやウインドオーケストラとのクラシックの協奏曲の共演、ブラス・アンサンブルとのツアー、小曽根真率いるNo Name Horsesへの参加、米津玄師の楽曲やKing Gnuのツアー参加等、ジャンルを超えたマルチな活動で注目を集めている。メディアにも多数出演して話題を呼んでいる彼の演奏もまた聴き逃せない。

 次いでは西村大地。2007年生まれの彼は、10代とは思えない世界最高クラスのテクニックと表現力を併せ持つ新時代のリーダー的存在。日本管打楽器コンクールや東京音楽コンクールで入選したほか、数々のコンクールで最高位を獲得。「題名のない音楽会」「THE TIME」等のテレビ番組出演や、様々なジャンルの演奏動画の投稿でも話題を集め、ジャズとクラシックの二刀流を目標に活動の幅を広げている。

 さらには児玉隼人(4公演に出演)。2009年生まれの彼は、16歳にして美しい演奏と華麗なテクニックで世界を驚愕させている天才奏者。2024年日本管打楽器コンクールにおいて、全部門での史上最年少で第1位を受賞し、2025年ウィーン国際音楽コンクール金賞ほか、数々のコンクールで入賞している。すでに、N響、読響、新日本フィル等、全国の著名楽団と共演。現在はカールスルーエ音楽大学のプレカレッジにてラインホルト・フリードリヒ氏に師事している。

 3種類あるプログラムも魅力十分。オープニングも期待大だが、最大の注目は、松井秀太郎が同楽器を代表するハイドンの有名協奏曲を、自らのカルテットとオーケストラのためにジャズ・アレンジした「トランペット協奏曲“JAZZ”」だ。これは全公演(第3部)で演奏されるので、いかなる結果になるか楽しみに待ちたい。共演は中田延亮指揮のオーケストラ・アンサンブル金沢。

 第1部では、西村大地(4公演)と児玉隼人(3公演)が、ヘルテルのトランペット協奏曲第3番とジョリヴェのトランペットとピアノのためのコンチェルティーノを披露。曽根麻矢子(チェンバロ)、児玉桃(ピアノ)が相次いで登場するバックも実に豪華で、ここではクラシックのスタンダードにおける天才たちの技量を味わえる。

 第2部はナカリャコフのソロ。チャイコフスキーの「ロココ風の主題による変奏曲」(フリューゲルホルン版)(4公演)とショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番(ピアノ:児玉桃)(3公演)で、クラシカルな多才ぶりを示し、お得意のアーバン「『ヴェニスの謝肉祭』の主題による変奏曲」で、めくるめく超絶技巧を堪能させる。ここはもちろん、世界トップの名技を満喫できる必聴のステージだ。

 かように興味津々のフェスティバル。管楽器愛好家ならずとも、ぜひ足を運びたい。

文:柴田克彦

(ぶらあぼ2026年4月号より)

松井秀太郎 × ナカリャコフ × 西村大地 × 児玉隼人 トランペットの祭典
7/25(土)14:00 石川県立音楽堂 コンサートホール(076-232-8632) 4/25(土)発売
7/26(日)14:00 鎌倉芸術館(チケットスペース03-3234-9999)
7/27(月)18:45 愛知県芸術劇場 コンサートホール(東海テレビ放送事業部052-954-1107)
7/30(木)19:00 福岡シンフォニーホール(KBCチケットセンター092-720-8717) 3/21(土)発売
8/1(土)14:00 東広島芸術文化ホールくらら(082-426-5990) 4/18(土)発売
8/2(日)14:00 大阪/ザ・シンフォニーホール(ABCチケットインフォメーション06-6453-6000) 3/22(日)発売
8/4(火)19:00 東京オペラシティ コンサートホール(チケットスペース03-3234-9999)
問:https://avex.jp/classics/trumpetfes2026/
※プログラムは公演により異なります。詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。


柴田克彦 Katsuhiko Shibata

福岡県生まれ。音楽マネージメント勤務を経て、フリーの音楽ライター・評論家&編集者となる。雑誌、コンサート・プログラム、Web、宣伝媒体、CDブックレットへの、取材・紹介記事や曲目解説等の寄稿、プログラム等の編集業務を行うほか、講演や講座も受け持つなど、幅広く活動中。著書に『山本直純と小澤征爾』(朝日新書)、 『1曲1分でわかる! 吹奏楽編曲されているクラシック名曲集』(音楽之友社)。