熊川哲也『カルミナ・ブラーナ』特別収録版がオンライン限定配信

 熊川哲也『カルミナ・ブラーナ』2021 特別収録版が、3月29日よりオンライン限定で配信される。これに先立ち3月18日、完成披露4K試写会に熊川哲也が登壇した。
(2021.3/18 東京都内 Photo:J.Otsuka/ぶらあぼ編集部)

 熊川版『カルミナ・ブラーナ』は2019年9月、Bunkamura30周年記念公演として世界初演。オーチャードホール芸術監督の熊川が構成・演出・振付を手掛け、同ホールとフランチャイズ契約を締結する、Kバレエ カンパニーと東京フィルハーモニー交響楽団が出演、東京フィル首席指揮者のアンドレア・バッティストーニが指揮台に立つなど、2日間の公演は大きな話題となった。それから時を経て21年2月、Bunkamuraオーチャードホールにて完全無観客で収録。コロナ禍で困難な状況に立ち向かう世界中の人々に復活へのメッセージを贈る。

中央:関野海斗(アドルフ)

 「カルミナ・ブラーナ」は、19世紀初めのドイツ南部、ベネディクト修道会の修道院で発見された中世の詩歌集。作曲家カール・オルフ(1895〜1982)がこれに基づき作曲したカンタータ「カルミナ・ブラーナ」は、「春」「酒」「愛」をテーマに全25曲の合唱と舞踊からなる3部構成の大作(1936年作曲、37年フランクフルトで初演)だ。副題「楽器群と魔術的な場面を伴って歌われる、独唱と合唱のための世俗的歌曲」が示す通り、オルフはこの作品を舞踊を伴う舞台作品としての上演を前提に作曲。熊川版では、“女神フォルトゥーナの子は悪魔であった”という発想のもとに物語が展開された。

 完成した映像版について熊川は、「これだけの規模のことがこの時期にできたこと自体奇跡。いま一番喜んでいるのは作品だと思います。
 ライブは何物にも代えがたく、目でみて体感できるのはライブの極みであり、生きていく上での栄養剤です。冒頭のドキュメンタリーからエンドロールまで、映像作品として完璧に近いものになったと思います。この状況下でやれることが限られていますが、他と圧倒的な差をつける作品を創ることが大事。ライブには勝てないけれど負けないものができた」と自負する。

 配信の企画は、東急文化村、NTT東日本が熊川哲也に依頼した。打診された際にはコロナ禍にあえてこの作品に向き合う決断をしたと、熊川は想いを語る。
「コロナでみなが病んでいるときに、インパクトの強いこの作品、アドルフ・ヒトラーの時代の作品を世に出してよいのか自問自答しました。自分で説得して納得できる内容がなんなのかを考えた時に、『人類』『HUMANITY AGAINST COVID-19』だった。
 コロナ禍のなかにおいてどう活動していくか自問自答を繰り返していたなかで、自分の真髄にあるスイッチをおしていただいた」

 撮影にあたっては、「劇場体験を知るお客様をも唸らせる映像プラン」を絶対条件とし、ドローンやクレーン、4Kカメラなどを駆使した、アングルなども含め舞台撮影の常識を超えた形で収録。また「初演時になるべく近いものを」と“リアル”を追求した。
 ソリスト陣(今井実希(ソプラノ)、藤木大地(カウンターテナー)、与那城敬(バリトン))、合唱団(新国立劇場合唱団、NHK東京児童合唱団)は初演とそのままに、井田勝大指揮シアター オーケストラ トーキョーによる演奏は別収録したものを使用している。関野海斗(悪魔アドルフ)、小林美奈(ヴィーナス)ほかKバレエ カンパニー含め、総勢250名を超える出演者に、熊川自身も役名のない、「人類」の象徴として特別参加する。

 自身約2年ぶりの出演舞台が映像作品になったことについて、「踊ることから少し離れているといきなり出るのは勇気がいった。ライブで生きてきた僕にとって、今後は違う役、Kバレエの本公演でもこの年齢で携われる役ができるかなと、これからの活動の一つのきっかけとなるような、踏み出すきっかけをもらった」と語った。


【Information】
熊川哲也 『カルミナ・ブラーナ』 2021 特別収録版

演出・振付・台本: 熊川哲也
音楽:カール・オルフ
舞台美術・衣裳デザイン:ジャン=マルク・ピュイッソン

出演
アドルフ:関野海斗
太陽:髙橋裕哉
ヴィーナス:小林美奈
ダビデ:堀内將平
サタン:遅沢佑介
白鳥:成田紗弥
神父:石橋奨也
ほかK-BALLET COMPANY
特別参加:熊川哲也

指揮:井田勝大
ソリスト歌手:今井実希(ソプラノ)、藤木大地(カウンターテナー)、与那城 敬(バリトン)
合唱:新国立劇場合唱団
児童合唱:NHK東京児童合唱団
管弦楽:シアター オーケストラ トーキョー

収録:Bunkamuraオーチャードホール、2021年2月 映像制作/TBS
収録時間:メイキング+本編65分

【視聴チケットご購入方法】
■MY Bunkamuraからの購入

《特典付き早割視聴券》 (データ版プログラム付き)
料金:4,300円
販売期間:3月12日(金)12:00〜3月28日(日)23:59まで
※特典付き早割視聴券の販売はMY Bunkamuraのみでの取り扱いとなります。

《一般視聴券》
料金:5,300円
販売期間:3月29日(月)10:00〜4月27日(火)22:00まで
配信期間(長期間配信):3月29日(月)19:00〜4月27日(火)23:59
https://mybun.jp/carmina2021

■イープラスからの購入
《一般視聴券(国内配信》

料金:5,300円
販売期間:3月29日(月)10:00〜4月4日(日)22:00
配信期間:3月29日(月)19:00〜4月4日(日)23:59
https://eplus.jp/carmina-burana/

《一般視聴券(海外配信/English ver.)》
料金:5,300円 *JPY
販売期間:4月21日(水)19:00〜4月27日(火)22:00(日本時間)
配信期間:4月21日(水)19:00〜4月27日(火)23:59(日本時間)
https://ib.eplus.jp/carmina_brana

*詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
https://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/21_carmina_burana/