【SACD】“白鳥の歌”四題/宮本益光

 歌い手に留まらず多才な活動で知られる“バリトン王子”の最新録音はロマン派4人の最晩年ドイツリートで綴った美しいプログラム。ハイネの詩ばかりを集めたシューベルトの6編、愛するクララの死が迫る中でブラームスが書き上げた“厳粛な”3編、時に哲学的ですらあるヴォルフの3編、そしてリュッケルト集から超俗の響きに満ちたマーラーの3編と、いずれも人間の生と死を見つめた曲目。アンコール曲のようなシューベルト〈ミューズの児〉と〈楽に寄す〉が、同内容で1985年10月に公演を成功させた師・高橋大海へのオマージュ感をさらに深めているのも見事。
文:東端哲也
(ぶらあぼ2021年4月号より)

【information】
SACD『“白鳥の歌”四題/宮本益光』

シューベルト:「白鳥の歌」より、ミューズの児、楽に寄す/ブラームス:「4つの厳粛な歌」より/ヴォルフ:ミケランジェロの詩による3つの歌曲/マーラー:「リュッケルトの詩による5つの歌曲」より

宮本益光(バリトン)
髙田恵子(ピアノ)

妙音舎
MYCL-00003 ¥3200+税