【CD】デュオ・ココン plays シューベルト&ベートーヴェン

結成7年目を迎えるデュオ・ココンのデビュー盤は、シューベルトとベートーヴェンの名作という、硬派かつ意欲的な曲目。「楽譜に忠実に」を信条として、恣意的な強弱や揺れで効果を狙うことなく、糸原彩香のヴァイオリンは控えめなヴィブラートで清純な音色を作り、佐伯麻友のピアノはそれを包み込みつつ力感を加えていく。その演奏スタイルとシューベルト20歳の佳品は好相性で、瑞々しい感性が伝わる。「クロイツェル」は35分かけてじっくり構築、外連味ない表現をベースとしながらも、曲のエネルギーで自ずと熱気を帯びていく様が好感抜群。「楽譜通り」とはこのことだろう。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2021年3月号より)

【information】
CD『デュオ・ココン plays シューベルト&ベートーヴェン』

シューベルト:ヴァイオリン・ソナタ イ長調/ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」

デュオ・ココン
【糸原彩香(ヴァイオリン) 佐伯麻友(ピアノ)】

ナミ・レコード
WWCC-7938 ¥2500+税