藤田真央も登場! 3都市を結ぶ新しいコンサート
1975年以来、日本フィルは九州全7県でツアーを行ってきた。地元市民の自主的な参加によって実行委員会を組んで開催する同ツアーは、市民とオーケストラが手を取り合って音楽文化を担うモデルとして注目を集めてきた。だが、長引くウイルス禍の影響で実行委員会の活動が困難になったことなどから、2021年2月に計画された2週間にわたる九州ツアーは断念されてしまう。
しかし、歴史ある九州公演の灯を消さないために、なにかできることはないだろうか。そんな思いから実現したのが、東京で開催される「特別演奏会 with 九州」。本来なら九州で演奏される予定だったプログラムを生かし、藤岡幸夫の指揮、藤田真央のピアノによる特別演奏会が開催される。会場は東京のBunkamuraオーチャードホールだが、同公演は大分県のiichikoグランシアタ、長崎県の長崎ブリックホール国際会議場にリアルタイムで中継され、ライブビューイングというかたちで九州の聴衆と音楽の喜びを分かち合うことになる。
プログラムはモーツァルトの歌劇《フィガロの結婚》序曲、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」。19年のチャイコフスキー国際コンクールで第2位入賞以来、ますます活動の場を広げる藤田がベートーヴェンに取り組むのが聴きもの。また「新世界より」は「藤岡版」と銘打たれ、作品本来の姿に迫る指揮者のこだわりが反映される。
なお、本公演に先立つ2月18日、めぐろパーシモンホールにて高関健指揮日本フィルのオール・ベートーヴェン・プログラムでも藤田は協奏曲のソリストを務める。こちらの演目はピアノ協奏曲第3番、交響曲第6番「田園」他。あわせて注目したい。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2021年2月号より)
*政府の緊急事態宣言延長に伴い、本公演は開演時間が変更されました。(2/3主催者発表)
19:00開演 → 18:00開演
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
2021.2/22(月)19:00 Bunkamuraオーチャードホール
問:日本フィル・サービスセンター03-5378-5911
https://japanphil.or.jp