第11回 東京音楽コンクール 優勝者コンサート

コンチェルトでフレッシュな才能を堪能


 毎回、豊かな才能と個性に溢れた若手を輩出している東京音楽コンクール。その優勝者特典の一つが、オーケストラと共演できる当公演だ。11回目を迎える今回は木管、弦楽、ピアノの覇者3名が登場する。
 木管は、今年から拠点を日本に移したハンガリー出身の23歳、コハーン・イシュトヴァーン(クラリネット)。コンクールでは技巧だけでなく、構成力や情熱も含めたバランスのよさが高く評価された。今回は本選と同じシュポアの協奏曲第2番を演奏。「限界はない、すべては自分の努力次第」と語る彼の人柄が滲むような名演が期待される。
 弦楽は、現在、桐朋学園音大1年の田原綾子(ヴィオラ)によるバルトークの協奏曲。ヴァイオリンからヴィオラに転向して間もないが、岡田伸夫や鈴木康浩に師事する俊才だ。今回の審査委員・菅沼準二も「何を弾いても大丈夫」と太鼓判のスケール豊かな音楽作りに注目だ。
 そしてピアノ部門は、現在、東京芸大4年の黒岩航紀。コンクールでは全身全霊を傾けた演奏によるラフマニノフの協奏曲第3番が大喝采を浴びたが、今回はチャイコフスキーの協奏曲第1番を披露。ロシアの民族性豊かな旋律をどう弾き分けるかが楽しみだ。
 なお、今回は昨年同様、フリー・アナウンサーの朝岡聡が司会を務め、管弦楽は梅田俊明&東京フィルが担当する。上記の3曲だけでなく、J.シュトラウスⅡのワルツ「芸術家の生活」も演奏するなど、華やかな宴をさらに盛り上げる。
文:渡辺謙太郎
(ぶらあぼ2013年12月号から)

★2014年1月19日(日)・東京文化会館 Lコード:34714
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