ダンスファン必見!金森穣とNoismが「サラダ音楽祭」に登場〜オーケストラをバックにダンスを披露

 2020年9⽉5⽇〜6⽇、東京芸術劇場/池袋エリア(周辺施設)で「サラダ音楽祭」(正式名称=「TOKYO MET SaLaD MUSIC FESTIVAL 2020」)が催される。18年より東京都と東京都交響楽団が東京芸術劇場および豊島区と連携して実施しており、コンセプトは「Sing and Listen and Dance!! 歌う!聴く!踊る!」。「誰もが音楽の楽しさを体感・表現できる音楽祭」を目指している。

 なかでも東京芸術劇場コンサートホールで開かれる音楽祭メインコンサートでは、大野和士の指揮による東京都交響楽団が大曲を演奏し、舞踊とのコラボレーションを果たしてきた。18年にはオルフの世俗カンタータ「カルミナ・ブラーナ」を披露し、コンドルズの近藤良平が振付・出演してカンパニーの面々も踊った。19年には、ベルリオーズの劇的交響曲「ロメオとジュリエット」に挑み、安達悦子(振付)が束ねる東京シティ・バレエ団が華麗に舞った。

左:大野和士
右:金森 穣 撮影:篠山紀信

 本年は当初ストラヴィンスキーの「春の祭典」を演奏し、Noism Company Niigata(ノイズム・カンパニー・ニイガタ)も出演予定だった。あいにく新型コロナウイルス感染症拡大の影響により規模を縮小し曲目変更となったが、Noismの出演は変わらない。Noismは、04年、りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館レジデンシャル・ダンス・カンパニーとして創設。芸術監督の金森穣は巨匠ベジャール、キリアンの下で学んだのち欧州の著名舞踊団で踊り、振付家としても早くから注目された。新潟市を拠点に日本唯一の公共劇場専属舞踊団として国内外で精力的に活動し、常に刺激的な創作を世に問う。

 今回の「サラダ音楽祭」に、金森とNoismは二つの楽曲に合わせてダンスを披露する。いずれも振付は金森による。これはかなり贅沢な企画と言わざるを得ない。

 まずは現代作曲家アルヴォ・ペルトの「フラトレス〜ヴァイオリン、弦楽と打楽器のための」。“フラトレス”とは、ラテン語で「親族・兄弟・同士」の意。Noismは昨年から同曲を扱ったシリーズを展開してきたが、このたび掉尾を飾る。「集団の強度」(PR動画での金森のコメント)を追求し、金森とNoism1(準メンバーを含む)の計12名が心を一つにする。日々共に研鑽に励む彼らの身体に宿る高い精神性が感じられそうだ。ペルトの静寂の美、穏やかで内面的なサウンドにどのような人体の動きが投影されるのか期待は高まるばかりだ。金森自身の出演もファンにとっては嬉しい。

『FratresⅠ』より 撮影:篠山紀信

 もう一つは「ラヴェルのピアノ協奏曲第2楽章」。これは副芸術監督の井関佐和子と山田勇気のデュエットである。二人ともNoismの中心的なダンサーだ。ワルツのような長いピアノソロを持つシンプルで繊細な音楽と一体となって、成熟した大人の表現者だからこそ醸し出せる肉体言語の深みが伝わってくるだろう。

 Noismがオーケストラのライブ演奏と共演する機会は、金森が演出・振り付けした「サイトウ・キネン・フェスティバル松本2011」(現:セイジ・オザワ松本フェスティバル)におけるバルトークのオペラ《青ひげ公の城》《中国の不思議な役人》以来、機会は限られてきた。その意味でも今年の「サラダ音楽祭」はダンスファンにとってまたとないチャンスなのである。ぜひご来場いただきたい。
文:高橋森彦


【information】
トーキョー・メット・サラダ・ミュージック・フェスティバル2020[サラダ音楽祭]
OK! オーケストラ 9/5(土)14:00
メインコンサート 9/6(日)16:00
東京芸術劇場コンサートホール
問:サラダ音楽祭事務局03-5330-3080
https://salad-music-fes.com