アンドレイ・アニハーノフ (指揮)

現代に合った解釈の「第九」をお届けしたい

 12月に入ると、今年も全国各地で毎日のように演奏されるベートーヴェンの「第九」。どれを聴くか選びかねている方に、2013年の聴き納めとしてお薦めなのが、ウクライナの名門・キエフ国立フィルが高らかに歌い上げる歓喜の歌だ。指揮を務めるロシアの名匠アンドレイ・アニハーノフに、公演の抱負や聴きどころをきいた。
 1991年にミハイロフスキー歌劇場と初来日。以来、毎年のように来日し、2009年からは東京ニューシティ管の客演指揮者も務めている親日家のアニハーノフ。日本で「第九」を指揮した回数は約20回にも及ぶという。
「日本ほど『第九』が好きな国はないと思います。年が改まる直前にこの作品を聴くことで、新年の幸福や希望を祈る。いわばシンボルとして、文化に深く根付いているのでしょうね。そういう環境で『第九』を数多く指揮できることは大きな喜びです」
 楽器、編成、奏法など、実に多彩な解釈が存在する「第九」。そんな中、アニハーノフは「現代に合った解釈」を大切にしたいと語る。
「ベートーヴェンが生きていた当時ではなく、現代の皆さんの多くがこの作品に求めている演奏をしたいのです。例えば、ヴィブラートをあえてたっぷり使って、雄大でロマンティックな要素を前面に押し出すとか。私自身、カラヤンが弾き振りしたJ.S.バッハのブランデンブルク協奏曲の演奏が大好きでしたしね(笑)。聴き慣れた作品でも、それを初めて聴くような瑞々しい感動を皆さんにお届けする。それが常に私の目標です」
 1995年に創設され、現在は東欧の最も優れたオーケストラの一つとして評価を確立しているキエフ国立フィル。だが、意外にも、アニハーノフが同団を指揮するのは今回が初めてだそうだ。
「ソ連崩壊によってロシアとウクライナに国が分かれてしまったので、近接していてもなかなか指揮する機会に恵まれませんでした。彼らは結成から20年に満たない若いオーケストラですが、ペンデレツキやテオドラキスなどの作曲家や、クレーメル、バシュメット、アッカルドといった著名演奏家との共演も多く、着実に実績を積み重ねています。今回は来日前に現地でリハーサルを行うので、しっかり準備して臨むつもりです」
 ソプラノのアッラ・ロディナをはじめとする4人のソリストは、いずれも地元キエフで活躍する実力派。合唱は、今回のために特別編成された「第九」公演記念合唱団(12/23は札幌アカデミー合唱団)が務める。アニハーノフのタクトの元、熱く重厚な“歓喜の歌”となるに違いない。
取材・文:渡辺謙太郎
(ぶらあぼ2013年11月号から)

アンドレイ・アニハーノフ(指揮) キエフ国立フィルハーモニー交響楽団 「第九」
★12月23日(月・祝)・札幌コンサートホールKitara 
 問 オフィス・ワン011-612-8696
 28日(土)・東京オペラシティコンサートホール Lコード:34848
 問 テンポプリモ03-5810-7772 
http://tempoprimo.co.jp