川口成彦 フォルテピアノ・リサイタル

プレイエルのオリジナル楽器で紡ぐショパンの名曲たち

C)Fumitaka Saito

 2018年にポーランドの首都ワルシャワで開かれた「第1回ショパン国際ピリオド楽器コンクール」で第2位入賞を果たし、一躍、国際的に脚光を浴びた若きフォルテピアノ奏者、川口成彦。コンクールへ臨む姿がドキュメンタリー番組で取り上げられるなど、いま最も注目を集める俊英が、ショパンの愛したプレイエルのオリジナル楽器で、その傑作の魅力の真髄へと迫る。

 1989年に盛岡市で生まれ、横浜で育った川口。東京藝大を経て、アムステルダム音楽院の古楽科修士課程に学んだ。「ショパン国際ピリオド楽器コンクール」は、古楽ムーヴメントの興隆を受け、ショパン国際コンクールを主催するポーランド国立ショパン研究所が創設。川口は、ここでの入賞の他にも、ブルージュ国際古楽コンクール・フォルテピアノ部門最高位など、数々の登竜門で実績を積み、18世紀オーケストラをはじめ、多くの第一線古楽アンサンブルとも共演を重ねている。

 今回は、1843年に仏プレイエル社で製造された、オリジナルのフォルテピアノを使用。同社の楽器は、パリ時代のショパンが愛用したことで知られ、現代の楽器には決して真似のできない、まろやかな音色と幅広い表現力が特長だ。川口は巧みに知性と情熱のバランスをとりつつ、この繊細な響きを操って、「24の前奏曲」全曲をはじめ、「英雄ポロネーズ」や「幻想即興曲」、ワルツ第5番「大円舞曲」ほか、佳品の森から選りすぐった“傑作中の傑作”を披露。その魅力の本質を浮き彫りにしてゆく。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2020年8月号より)

2020.7/26(日)14:00 三鷹市芸術文化センター 風のホール
問:三鷹市スポーツと文化財団0422-47-5122
https://mitaka-sportsandculture.or.jp