【CD】野本哲雄 プレイズ・モーツァルト&シューベルト

 桐朋学園大学を卒業後、ソロはもちろん、アンサンブルピアニストとして多方面で活躍する野本。特に声楽のアンサンブルで評価の高い彼は、美しい音色、ニュアンスに富んだ音楽表現を持ち味とする。今回のディスクはそんな野本のピアニズムを最大限に聴かせてくれる一枚。音の数が非常に抑制されたモーツァルトのロンドはピアニストの資質のすべてを露わにしてしまうが、音に対する集中力の高さを最大限に発揮し、曲に漂う“哀しみ”を丁寧に伝える。装飾音の繊細な表現も美しい。シューベルトのソナタでは彼が本来持つあたたかい音色を活かし、息の長い旋律線を豊かに歌い上げている。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2020年8月号より)

【information】
CD『野本哲雄 プレイズ・モーツァルト&シューベルト』

モーツァルト:ロンド イ短調/シューベルト:ピアノ・ソナタ第20番

野本哲雄(ピアノ)

ナミ・レコード
WWCC-7924 ¥2500