ドイツを代表する歌劇場の一つバイエルン国立歌劇場がフルHDの高画質無料ライブ・ストリーミング「STAATSOPER.TV」を実施する。
バイエルン国立歌劇場では、昨シーズンから無料でライブ配信する「STAATSOPER.TV」をスタート、世界55カ国で100万人以上が試聴したことで話題となった。2013-2014シーズンは、上演を予定しているオペラとバレエから、それぞれ厳選された8作品を無料でライブ配信する。
日本の聴衆に向けては、12月2日(月)午後7時からキリル・ペトレンコ指揮の新演出《影のない女》(現地開催日程:12 月1日午後6 時)が配信される。
今シーズンのライブ・ストリーミングでは、ポーランドの演出家、クリストフ・ワリコフスキによる新演出《影のない女》(R.シュトラウス)のほか、ザルツブルク音楽祭での《ドン・ジョヴァンニ》演出で話題となったマルティン・クシェイによる新演出《運命の力》(ヴェルディ)など6作品のオペラと、古代インドを舞台とした名作《ラ・バヤデール》など2作品のバレエを配信する。
上演前には、歌劇場のジェネラル・マネージャー ニコラウス・バッチェラーとバレエ監督のイワン・リスカによる作品紹介を、また休憩中は歌劇場のバックステージ・エリアの様子も楽しめる。
字幕はドイツ語字幕、英語字幕、字幕なしから選択が可能、さらに三段階の伝送品質(Low、High、HD)で提供、視聴者は三段階の品質から自身のインターネット接続に適するものを自由に選んで視聴できる。
【視聴リンク】
http://www.staatsoper.de/tv-japan
【プログラム】
■R.シュトラウス《影のない女》新演出
12月2日(日)午後7時(現地開催日程:12月1日午後6時)
演出:クリストフ・ワリコフスキ
指揮:キリル・ペトレンコ
出演:ヨハン・ボータ(皇帝)
アドリアンヌ・ピエチョンカ(皇后)
デボラ・ポラスキ(乳母)
ヴォルフガング・コッホ(バラック)
エレナ・パンクラトファ(バラックの妻)/他
【キリル・ペトレンコ Kirill Petrenko】
指揮/バイエルン国立歌劇場音楽監督
1972年、オムスク生まれ。地元の音楽学校でピアノを学ぶ。11歳の時、市の交響楽団との共演で、初めて聴衆の前で演奏をした。1990年、父がオーケストラの団員兼音楽教師としての職を得たために、家族(父はヴァイオリン奏者、母は音楽学者)と共にオーストリアのフォアアールベルク州に移住。当初、フェルトキルヘで勉強を続けていたが、その後、ウィーンの音楽大学で指揮を学び、1997年に卒業した。1997年の秋から、ウィーンのフォルクスオーパーでアシスタントコンダクター兼リハーサル伴奏者を務めた。
1999年から2002年まで、マイニンゲンの劇場で音楽総監督の任に就き、2001年、クリスティーネ・ミーリッツの演出、アルフレード・フルドゥリチカのデザインによる『ニーベルングの指輪』で初めて国際的な注目を集めた。
2002年から2007年までは、ベルリン・コーミッシェ・オーパーの音楽総監督を務め、特にこの歌劇場に影響を与えることになった重要な新作では、ペーター・コンヴィチュニー、カリスト・ビエイト、ヴィリー・デッカー、アンドレアス・ホモキなどの演出家たちと組んで仕事をした。
マイニンゲンとベルリンで音楽監督の任を果たすのと平行して、国際的にも急速に活躍の場を広げていった。主なデビューには、2000年のフィレンツェ五月音楽祭劇場、2001年のウィーン国立歌劇場、ドレスデン・ゼンパーオーパー、2003年のリセウ大劇場、パリ国立オペラ、ロイヤル・オペラ・ハウス、バイエルン国立歌劇場、ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場、2005年のフランクフルト歌劇場などがある。2006年から2008年まで、リヨンでピーター・スタインと組んで、チャイコフスキーのプーシキン・オペラ「スペードの女王」「マゼッパ」「オネーギン」を上演、2010年の春に全作再演もされた。
2007年7月にコーミッシェ・オーパーを離れてからは、客演指揮者として出演している。2009年、いろいろな仕事をする中で、バイエルン国立歌劇場ではバーバラ・フレイが演出したレオシュ・ヤナーチェクの『イエヌーファ』、そしてフランクフルトではハリー・クプファー演出によるハンス・プフィッツナーの『パレストリーナ』(いずれも新作)を指揮した。
2011年、再びフランクフルトで、アンドレアス・クリーゲンブルクとのコラボレーションである『トスカ』の新作を、また、リヨンとルール・トリエンナーレでは、ワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』(ヴィリー・デッカーとのコラボレーション)を指揮した。
2012/13年のシーズンの新作には、リヒャルト・シュトラウスの『影のない女』、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの『皇帝ティートの慈悲』、ベルント・アロイス・ツィンマーマンの『兵士たち』などがある。
これまでに指揮をしてきた主なオーケストラには、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、シュターツカペレ・ドレスデン、バイエルン放送交響楽団、バイエルン国立管弦楽団、ケルン放送交響楽団、ハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団、北ドイツ放送交響楽団、フランクフルト・ムゼウム管弦楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、ウィーン放送交響楽団、ウィーン交響楽団、クリーヴランド管弦楽団、シカゴ交響楽団、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、オスロ・フィルハーモニー管弦楽団、ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団、RAI国立交響楽団、イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団などがある。さらに、ザルツブルクやブレゲンツの音楽祭でもコンサートの指揮をしている。
2013年8月にはバイロイト音楽祭で、リヒャルト・ワーグナーの『ニーベルングの指輪』の新演出(フランク・カストルフ演出)を指揮、大きな話題となった。
9月1日にバイエルン国立歌劇場の音楽監督に就任。
◎STAATSOPER.TV今後上映が予定されるプログラムラインアップ
■ジュゼッペ・ヴェルディ《運命の力》新演出
(現地開催日程:12月28日(土)午後6時)
演出:マルティン・クシェイ
指揮:アッシャー・フィッシュ
出演:アニヤ・ハルテロス(レオノーラ)ヨナス・カウフマン(アルヴァーロ)ルドヴィック・テジエ(カルロ)ナディア・クラスティーヴァ(プレツィオジッラ)レナート・ジローラミ(メリトーネ)/他
■W.A.モーツァルト《皇帝ティートの慈悲》新演出
(現地開催日程:2月15日(土)午後7時)
演出:ヤン・ボッセ
指揮:キリル・ペトレンコ
出演:クリスティーネ・オボライス(ヴィッテリア)トビー・スペンス(ティート)タラ・エロート(セスト)ハン=エリザベス・ミューラー(セルヴィリア)/他
■《ラ・バヤデール》
(現地開催日程:3月15日(土)午後7時30分)
振付:マリウス・プティパ/パトリス・パール
音楽:ルートヴィヒ・ミンクス
出演:ルシア・ラカッラ(ニキヤ)、マーロン・ディノ(ソロル)
■ツィンマーマン《兵士たち》新演出
(現地開催日程:5月31日(土)午後7時)
演出:アンドレアス・クリーゲンブルク
指揮:キリル・ペトレンコ
出演:バーバラ・ハンニガン(マリー)ミカエル・ナジ(シュトルツィウス)エンドリック・ヴォットリヒ(デポルト)/他
■《バレエ・リュス─牝鹿/牧神の午後/シェヘラザード》
(現地開催日程:6月21日(土)7時30分)
振付:プロニスラヴァ・ニジンスカ/ヴァーツラフ・ニジンスキー
ミハイル・フォーキン
音楽:フランシス・プーランク、クロード・ドビュッシー
ニコライ・リムスキー=コルサコフ
■ロッシーニ《ウィリアム・テル》新演出
(現地開催日程:6月28日(土)午後6時)
演出:AntuRomeroNunes
指揮:ダン・エッティンガー
出演:ミヒャエル・ヴォッレ(ウィリアム・テル)ブライアン・ハイメル(アルノール・メ
ルクタール)ギュンター・グロイスベック(ジェスレル)/他