椿三重奏団(ピアノ三重奏団)

“完璧な美しさ”目指す麗しきピアノ・トリオ、本格始動!

左より:礒 絵里子、新倉 瞳、高橋多佳子
C)Fukaya Yoshinobu

 高橋多佳子(ピアノ)、礒絵里子(ヴァイオリン)、新倉瞳(チェロ)。美しく、華やかで、そして楽しい三人のピアノ・トリオ「椿三重奏団」が2月にデビューCDをリリースする。

 初共演は12年前にさかのぼる。高橋と礒の出演するトリオのコンサートに、降板したチェリストの代役として急きょ駆けつけたのが、当時まだ大学生の新倉だった。それ以来1年に一度程度のペースで共演していた彼女たち。2年前、愛知県の「つばきホール」での公演がきっかけで「椿三重奏団」を名乗ることになった。

高橋「大好評で、ホールの方やお客様が、ちゃんと名前をつけたほうがいいよと言ってくださって」
「白い椿の花言葉が『完璧な美しさ』なので、それを目指そうという意味も込めました」

 CDの収録曲は、メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番とブラームスのピアノ三重奏曲第1番を中心に、ブラームスのハンガリー舞曲第6番とワルツ op.39-15、モンティのチャールダーシュの組み合わせ。
「最初のCDなので、ロマン派の王道の曲を。メンデルスゾーンとブラームスは収まりがいいと感じています」
高橋「力量があらわになる曲だと思うんですね。でも1枚目は直球勝負をしてみたかった」
新倉「小品の選曲にけっこう悩みました。あれにする? これにする? と行ったり来たりして」
高橋「結果としていい選曲になりましたね。CDトータルで楽しんでいただけると思います」

 録音は、通常のコンサートとは異なり三人が向き合って位置し、その頭上にマイクを設置する形で収録した。
「三人が形づくる三角形が、立体的に、三角すいになるような感覚でした」
新倉「弦をこする臨場感のある音がちゃんと入っていて、とくにそれが『チャールダーシュ』などでうまくはじけて、いい味が出ているのではないかと思います」

 編集中の音源を聴かせてもらった。メンデルスゾーンの冒頭。深く歌い出すチェロ、表情豊かに、しかし知的に応じるヴァイオリン。一気に引き込まれる。ピアノは両者を懐深く支え、ときに挑発する。自在な息づかい。ピアノ三重奏いいなあ! と思わせる聴きごたえ。リリースを記念して、今年は2月からほぼ毎月、全国各地10ヵ所以上でCD収録曲を中心としたコンサートを予定している。トークを交えてのステージなので、和気あいあいと笑いの絶えない彼女たちの華やいだやりとりも、それが音楽家同士の真剣な対話に変わる瞬間も楽しめるに違いない。本格的に始動した椿三重奏団に注目だ。
取材・文:宮本 明
(ぶらあぼ2020年2月号より)

2020.2/15(土) 横浜市磯子区民文化センター 杉田劇場
4/18(土) 横浜市栄区民文化センター リリス
4/25(土) 愛知/幸田町民会館 つばきホール
5/30(土) 北九州市立響ホール
6/20(土) 長野/岡谷市文化会館 カノラホール(小)
総合問:アールアンフィニ・レーベル050-3707-1407
http://www.110107.com/s/oto/page/art_infini
※全国公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。

SACD『メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲第1番/ブラームス:同第1番』
アールアンフィニ
MECO-1057 ¥3000+税
2020.2/19(水)発売