新国立劇場 モーツァルト《コジ・ファン・トゥッテ》

夜のキャンプ場で起こる危険な恋愛ゲーム

2013年公演より 撮影:三枝近志

 名作オペラのなかには「音楽は最高なんだけど、ストーリーに説得力がなく、ピンと来ない」という作品もある。時を経ても音楽は古びていないけれど、物語はすっかり古びてしまった、というケースだ。しかし、まれに物語がまったく古びていない、むしろ現代的だと思える作品もある。モーツァルトの《コジ・ファン・トゥッテ》がそうだ。二組のカップルが、ほんの戯れから、お互いの恋人を交換することになってしまう。恋人への忠誠心と浮気心の間で揺れる女たち、プライドを傷つけられる男たち。現代のテレビドラマのテーマになってもまったくおかしくない。

 3月、新国立劇場では定評あるダミアーノ・ミキエレット演出の《コジ・ファン・トゥッテ》が上演される。2011年に初演されたこの演出では、舞台が現代のキャンプ場に設定されている。大胆な読み替えだが、一夜の危険な恋のゲームの舞台として、キャンプ場ほどふさわしい場所もない。キャンプ場で夜を過ごす若者たちには事件が起きるもの。ホラー映画なら連続殺人鬼がやってくるところだが、オペラでは恋人の交換が始まるのだ。このオペラは演出家にとって挑戦しがいのある作品だろう。演出により、幕切れはハッピーエンドにもバッドエンドにもなりうる。

 音楽面では歌手たちのアンサンブルが聴きどころ。世界の主要歌劇場で活躍するエレオノーラ・ブラット、アンナ・ゴリャチョーワら、充実の歌手陣が集う。指揮は経験豊富なパオロ・オルミ。モーツァルトの音楽はいつだって最高だ。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2020年2月号より)

2020.3/18(水)18:30、3/20(金・祝)14:00、3/22(日)14:00、3/24(火)14:00
新国立劇場 オペラパレス
問:新国立劇場ボックスオフィス03-5352-9999 
https://www.nntt.jac.go.jp/opera/

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