京都コンサートホールと京響が2020年度自主公演ラインナップを発表

 2020年度の京都コンサートホールと京都市交響楽団の自主公演ラインナップが決まり、11月27日に同ホールで併せて発表された。オープンから25周年の節目となる同ホールは、西日本最大級となる“合唱の祭典”が核に。一方の京響は、11回の定期演奏会をはじめとする意欲的なステージやプロジェクトに、心機一転の新体制で臨む。

 ベートーヴェン生誕250年と東京オリンピック・パラリンピックの年が開館25周年となった京都コンサートホールは、人類愛を謳った楽聖と大会理念に因んで、「京都でうまれる音 心つなぐ音楽」を年間テーマに据えた。「Sing for Peace 〜KYOTO 2020 コーラス・フェスティバル〜」(5/22〜5/24)では、作曲家・合唱指揮者のボブ・チルコットを迎え、彼の書き下し新作のほか、イギリスの精鋭集団「スティレ・アンティコ」をはじめ、国内外から60以上の合唱団体が集い、3日間にわたり、古都に平和への祈りを込めた歌声を響かせる。

京都コンサートホール事業部・高野裕子によるラインナップ説明の模様
写真提供:京都コンサートホール

 大ホール公演の中では、「BIG3 世界の響きを京都から」と題された、3つのオーケストラ公演が特に注目だ。まずは若き鬼才テオドール・クルレンツィスが、手兵ムジカエテルナ (管弦楽) 、同合唱団と共にベートーヴェン「交響曲第9番」を(4/10)。サイモン・ラトルは音楽監督を務めるロンドン交響楽団とマーラーの交響曲第2番「復活」を披露する(10/4)。佐渡裕は京響と交響曲第3番「カディッシュ」などバーンスタインの作品を振る(11/22)。佐渡は「師が神と対峙した作品。故郷の楽団や大切な人々とともに演奏できるのを大変嬉しく思う」とのメッセージを寄せた。

 一方、京都市交響楽団は、長年にわたり常任指揮者兼ミュージック・アドヴァイザーを務めてきた広上淳一が、改めて常任指揮者兼芸術顧問に就任。首席客演指揮者にアメリカ出身のジョン・アクセルロッド、特別名誉友情コンサートマスターに豊嶋泰嗣、特別客演コンサートマスターに石田泰尚と会田莉凡を迎える。広上は、ブルックナーの交響曲第8番(6/26)など2つの定期のほか計8回の自主公演に登場。アクセルロッドは、マーラー「復活」で就任を披露する(9/12,9/13)。地元出身の阪哲朗は、R.シュトラウス《ばらの騎士》抜粋ほかで初登場(8/29)。演奏会の映像・音声の配信、新料金体系の導入など、新プロジェクトも始動。広上は「京都に世界的な実力の楽団があるのだと、世界中に発信したい。そのためには、まず、すべての京都市民に認められ、誇ってもらえる楽団にしなければ…」と力を込めた。
取材・文:笹田和人

左:柴田智靖(京都市交響楽団 シニアマネージャー代行兼チーフマネージャー)
右:広上淳一(同常任指揮者兼芸術顧問)
C)笹田和人

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