ラファエル・アギーレ(ギター)

色彩感あふれるスペイン音楽の世界

C)European Music Foundation(Liz Isles)

いまやスペインを代表するギタリストとして世界で活躍するラファエル・アギーレ。2月に行われる日本でのリサイタルでは、母国の名作を中心にしたプログラムを用意してくれた。
「今回の日本でのリサイタルではスペインの“パーティー(fiesta)”をお届けしたいと考えました。その理由は、スペイン音楽というのはギターに完璧なまでに適しているからなのです」と語る。「ギタリストにとって欠かせない作品」というアルベニスの「アストゥリアス」「セビリア」に始まり、タレガ、ロドリーゴ、ファリャなど、クラシック・ギターならこれ、というスペインの作品が並ぶ。

「ギターという楽器では演奏技術のことを知らないと自然な作曲をすることが難しいのですが、ギタリストたちは、自分の楽器の性質に合った作品を書きます。ギターにはちょっと特殊なところがあり、響きにくい調性があったり、派手に聴こえるアルペジオやコードの組み合わせがあったりします。ギター曲を書く時にはそうした知識が必要となってきますが、スペインのギタリストの作品にはベースとなる深い知識があるのです」

サビーカスやパコ・デ・ルシアといったフラメンコのジャンルで活躍するギタリストの作品も含まれる。
「フラメンコ・ギターが大好きなのです。クラシックの作品とフラメンコの作品を組み合わせるのも好きです。両者は20世紀に入り、次第に区別されるようになりましたが、19世紀には同じカテゴリーに入っていました。それをまた同じステージの上に登場させる時が来たと私は思っています。サビーカスの『オレー・ミ・カディス』はとても楽しい曲で、パコ・デ・ルシアの『月に映えて』はメランコリックさが存分に表現されていますが、どちらもスペイン音楽特有の感情が表れています」

ヘロニモ・ヒメネス「ルイス=アロンソの結婚式」からの間奏曲はアギーレ自身がすでに録音している作品だが、日本の名ギタリスト・山下和仁の編曲によるものだ。
「彼は素晴らしい編曲を数多く行っていて、ギターのレパートリーを広げました。いつか彼の編曲した『火の鳥』を演奏したいと思っています」

スペイン音楽の様々な魅力を詰め込んだ今回のリサイタル。「スペイン音楽の中にある美しい瞬間。まるで短い物語のようなその色彩感あふれる世界、情熱と歌心を楽しんでほしいです」とアギーレは結んだ。
取材・文:片桐卓也
(ぶらあぼ2020年1月号より)

ラファエル・アギーレ ギター・リサイタル
2020.2/4(火)19:00 浜離宮朝日ホール
問:パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831
http://www.pacific-concert.co.jp


他公演
2020.2/1(土)ミューザ川崎シンフォニーホール(TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511)(東京交響楽団との共演)
2/2(日)宗次ホール(052-265-1718)