今井奈緒子(パイプオルガン)

キーワードは“カノン”

 “カノン”の森に、パイプオルガンの名手が挑む。「すべての道は、バッハに通ず」を今年度のテーマに展開している、神奈川県民ホールのオルガン公演。バッハ・コレギウム・ジャパン創設時からメンバーとして名演を重ね、ドイツ・ルター派の音楽に精通する今井奈緒子の今回のリサイタルでは、「カノン」をキーワードとして大バッハと、その音楽から多大な影響を受けたシューマンの作品を特集する。前半はバッハのクラヴィーア練習曲集第3巻から前奏曲とフーガ変ホ長調(BWV552)を。続いて、カノン風変奏曲「高き御空よりわれは来たり」(BWV769a)を弾く。そして、後半ではシューマンの「ペダル・フリューゲルのための練習曲(6つのカノン風小品)」全曲を披露する。「バッハがオルガンの上で操る魔法のようなカノン、美しい旋律をモチーフに編んだシューマンのカノンによる作品を、バッハへの尊敬と感謝を込めて弾きたい」と今井。小さな演奏空間に相応しい名器で奏でられる、宝石のような旋律に身を浸してみたい。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2013年10月号から)

★11月23日(土・祝)・神奈川県民ホール(小) 
問 チケットかながわ045-662-8866
http://www.kanagawa-arts.or.jp/