マエストロお得意のリゲティの世界そして、ジュピター!
毎回のプログラムにこれほどワクワクさせられるコンビはほかにない。絶好調のジョナサン・ノットと東京交響楽団が11月の東京オペラシティシリーズで披露するのは、リゲティとリヒャルト・シュトラウス、そしてモーツァルトを組み合わせたプログラムだ。
ノットにとってリゲティは重要なレパートリー。生前の作曲者と知遇を得て、ベルリン・フィルとも録音を残し、東響でもたびたび主要作品をとりあげている。今回演奏されるのは「管弦楽のためのメロディーエン」。「メロディーエン」というタイトルとはうらはらに、長く引き伸ばされた和音がテクスチャーを作り出し、明快なメロディーは見えにくいのだが、その響きには美しい調和が保たれ、抒情性にあふれている。ノットによればリゲティの音楽は「複雑そうで実は明快」。
ノットはリゲティの音楽に好んでリヒャルト・シュトラウスの作品を組み合わせる。今回は晩年の傑作、オーボエ協奏曲。ソリストは東響首席奏者の荒絵理子が務める。こちらのほうが正真正銘のメロディーの音楽だろう。第1楽章冒頭のオーボエ・ソロを一瞬耳にしただけで、胸がいっぱいになるという人も少なくないのでは。
そして最後に演奏されるのが、モーツァルトの交響曲第41番「ジュピター」。完璧な調和へと到達する名曲だが、ノットと東響は決して予定調和に終わらないヴィヴィッドな音楽を聴かせてくれるはずだ。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2019年11月号より)
東京オペラシティシリーズ 第112回
2019.11/23(土・祝)14:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511
http://tokyosymphony.jp/