アレクサンダー・リープライヒ(指揮) 日本フィルハーモニー交響楽団

ゆかりの作曲家の傑作に渾身で挑む

アレクサンダー・リープライヒ
C)Sammy Hart

 日本フィルの12月東京定期を振るのは、アレクサンダー・リープライヒ。今年3月に続いての登場だ。1968年ドイツ生まれの彼は、アバドとギーレンの薫陶を受け、ミュンヘン室内管の芸術監督を長年務めた後、ポーランド国立放送響とプラハ放送響の首席指揮者兼芸術監督、およびR.シュトラウス音楽祭の芸術監督を務めている。客演もコンセルトヘボウ管、バイエルン放送響、ミュンヘン・フィルや、N響、読響ほか多数。3月の日本フィルとの初共演でも、エネルギッシュかつ引き締まった演奏で大好評を博している。

 彼は今回、モーツァルト《ドン・ジョヴァンニ》序曲、ルトスワフスキ「オーケストラのための書」、R.シュトラウス「英雄の生涯」という魅力的なプロで臨む。中でも前回に続くルトスワフスキは、その母国ポーランドの楽団のシェフを務めるリープライヒが力を注ぐ作曲家。「オーケストラのための書」は、トーンクラスター等を用いたシリアスかつ静謐な作品で、独特の響きが不思議な感動を誘う。ここはCD録音も行っているリープライヒの渾身のタクトに期待。R.シュトラウスは、サヴァリッシュが創設した同音楽祭の第3代芸術監督を務める彼の自家薬籠中の作曲家だけに、アプローチが興味をそそる。壮麗でドラマティックな「英雄の生涯」ならば曲も文句なし。さらにはザルツブルクのモーツァルテウムで学んだ彼のモーツァルト演奏も見逃せない。

 自信を持つ作曲家の大編成作品を主軸にしたプロは、前回にも増して勝負気配濃厚。意外に稀少な日本フィルとドイツ上昇株の顔合わせに、ぜひ注目したい。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2019年11月号より)

第716回 東京定期演奏会
2019.12/6(金)19:00、12/7(土)14:00 サントリーホール
問:日本フィル・サービスセンター03-5378-5911 
https://www.japanphil.or.jp/

  • La Valseの最新記事もチェック

    • ダヴィデ・ルチアーノ(バリトン)| いま聴いておきたい歌手たち 第12回 
      on 2020/01/17 at 03:20

      text:香原斗志(オペラ評論家) スターダムをのし上がりつつあるバリトンの大器 20世紀までは、バリトンなら彼だ、と太鼓判を押せる歌手がいつも、それも複数いたように思うが、ここしばらくの間、20世紀の生き残りであるような大御所を除くと、絶対的な指標になるようなバリトンがいなかったように思う。ダヴィデ・ルチアーノこそは、久々に現れた大器というべきだろう。 2017年8月、ペーザロのロッシーニ・オペ [&#8230 […]