ベテランと若手が21世紀の管弦楽のあり方を問う
オーケストラ・プロジェクトは1979年の第1回以来、作曲家のイニシアティヴによる新作発表の場として注目を浴びてきた。今回はベルリオーズ没後150年を記念して「管弦楽大革命」というコンセプトを打ち出したが、そこにはオーケストラという19世紀のメディアの、今日的な可能性を探るという問題意識がある。中堅〜ベテランを中心に自由に作品を持ち寄るスタイルが、大きな転機を迎えそうだ。
出品作曲家にも新傾向。小鍛冶邦隆、鈴木純明という藝大作曲科の二人の大黒柱に、フランス国立音響音楽研究所IRCAMでコンピュータ音楽を学んだ二人の若手が加わった。折笠敏之は物理や美学を学んだ後、作曲に転じ、北爪裕道は本年度の芥川也寸志サントリー作曲賞にノミネートされるなど、着実に成果を上げている。
今回は編成も一風変わったものになろう。鈴木はサクソフォンの協奏曲で臨み(独奏:大石将紀)、北爪作品は自動演奏ピアノに打楽器ソロ(菅原淳)と管弦楽を対置している。若手の作品にはコンピュータも用いられるのではないか。管弦楽復興の新たな狼煙に刮目だ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2019年10月号より)
2019.11/1(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:オーケストラ・プロジェクト2019 050-5217-5619/orchestra.project2019@gmail.com
http://www.orch-proj.net/