スリリングなピアニズム全開、高密度のアンサンブルふたたび!
酒井茜とマルタ・アルゲリッチは2005年のブエノスアイレス・アルゲリッチ音楽祭で初めてピアノ・デュオを行い、以来ルガーノ、パリ、リヨンをはじめとするヨーロッパ各地、ラ・フォル・ジュルネ東京でも共演を重ねている。14年に演奏した「春の祭典」は、聴衆を驚愕させるほどのエキサイティングな演奏で、いまなお語り継がれるほどだ。そのふたりがモーツァルト「4手のためのピアノ・ソナタ K.381」、プロコフィエフの組曲「シンデレラ」、ストラヴィンスキー「春の祭典」で共演する。
まず、モーツァルトのソナタは姉ナンネルとの連弾用に書かれたもので、《フィガロの結婚》のケルビーノのアリアが顔を覗かせるかろやかな曲。次いで登場するプロコフィエフの「シンデレラ」は、原曲のバレエ音楽の組曲をミハイル・プレトニョフが2台ピアノ用に編曲したもので、2台のピアノが華麗で物語性に富む旋律を豊かに歌い上げる。フィナーレを飾るストラヴィンスキーの「春の祭典」は作曲家自身による2台ピアノ用の編曲版で、酒井とアルゲリッチが火花を散らすスリリングなピアニズムが全開するメインプロラム。これはストラヴィンスキーの最高傑作と称されるバレエ音楽で、20世紀における現代音楽の出発点を成し、初演は大スキャンダルを巻き起こした。心をわしづかみにする刺激と、底なしのエネルギーに富んだ画期的な音楽をふたりが21世紀に鮮やかに蘇らせる。聴き手の心が高揚し、脳が覚醒するに違いない。
文:伊熊よし子
(ぶらあぼ2019年8月号より)
2019.10/1(火)19:00 サントリーホール
問:カジモト・イープラス0570-06-9960 http://www.kajimotomusic.com/
ミュージックプラント03-3466-2258 http://www.mplant.co.jp/
他公演
2019.9/27(金)愛知県芸術劇場コンサートホール(中京テレビ事業052-588-4477)
9/29(日)高崎芸術劇場(高崎音楽祭事務局027-322-9195 7/26発売)