東京音楽コンクール入賞者による名物シリーズ「上野 de クラシック」、下半期の聴きどころ

左より:パブロ・ティティアイエフ/宮下嘉彦/本堂竣哉

 東京音楽コンクール入賞者によるリサイタル・シリーズ「上野 de クラシック」。若い才能に翼を与えてきたこのシリーズも120回を越えた。これまで演奏会場だった東京文化会館が5月上旬より大規模改修に伴う休館に入ったため、以降は同じ上野公園にある旧東京音楽学校奏楽堂で行われる。

 10月2日は、金管部門第3位(2024年)のパブロ・ティティアイエフが登場。日本のオーケストラでも活動していたウクライナ生まれのトロンボーン奏者だ。ピアニストの石丸晃久とのデュオで、ドヴォルザークの「スラヴ舞曲」第2番や故国の作曲家マルチェンコの組曲「ファミリー・サークル」などを演奏する。

 12月4日の演奏会は、声楽部門第3位(2025年)のバリトン歌手、宮下嘉彦。東京二期会で《コジ・ファン・トゥッテ》のグリエルモを歌い、スペインのマエストランサ劇場で《ドン・ジョヴァンニ》のマゼット役でヨーロッパ・デビューも果たした新鋭だ。大貫瑞季のピアノと共に、ロッシーニの《セビリアの理髪師》より〈私は町の何でも屋〉、トローバのサルスエラ《マラヴィーリャ》より〈恋人よ、我が命よ〉など、得意とするレパートリーを取り上げる。

 そして、来年の3月12日は、ピアニストの本堂竣哉が舞台に上がる。ピアノ部門第1位及び聴衆賞(2025年)に輝いた逸材だ。5歳のときにグールドの弾くゴルトベルク変奏曲を聴いて衝撃を受けた若者は、今年東京藝術大学を卒業したばかり。すでに紀尾井ホールやTOPPANホールでもリサイタルを行っている、古楽から現代まで幅の広いレパートリーの持ち主だ。この日は、シューベルトの即興曲をマクラに、ベートーヴェンのソナタ第12番と第30番を披露する。

文:鈴木淳史

(ぶらあぼ2026年6月号より)

上野 de クラシック Vol.121 パブロ・ティティアイエフ(トロンボーン) & Vol.122 宮下嘉彦(バリトン) & Vol.123 本堂竣哉(ピアノ)
【Vol.121】2026.10/2(金)14:00
【Vol.122】2026.12/4(金)14:00
【Vol.123】2027.3/12(金)14:00
旧東京音楽学校奏楽堂
6/12(金)発売
問:東京文化会館チケットサービス 03-5685-0650
https://www.t-bunka.jp


鈴木淳史 Atsufumi Suzuki

雑文家/音楽批評。1970年山形県寒河江市生まれ。著書に『クラシック悪魔の辞典』『背徳のクラシック・ガイド』『愛と幻想のクラシック』『占いの力』(以上、洋泉社) 『「電車男」は誰なのか』(中央公論新社)『チラシで楽しむクラシック』(双葉社)『クラシックは斜めに聴け!』(青弓社)ほか。共著に『村上春樹の100曲』(立東舎)などがある。
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