リオ・クオクマン&東京シティ・フィル
没後90年・レスピーギを軸にした彩り豊かなプログラム

左:リオ・クオクマン
右:清水和音 ©Mana Miki

 9月の東京シティ・フィル定期は「レスピーギ没後90年」と掲げて、20世紀前半イタリアの代表的作曲家レスピーギに焦点を当てる。色彩あふれる壮大なオーケストレーションの達人であると同時に、古楽の研究と再評価を進め、それを題材にした軽快な新古典主義的作風の名手でもあった。この公演も、小ぶりな編成でバロック時代の楽曲を基にした組曲「鳥」と、バンダも加わり大編成のオーケストラの魅力を最大限に発揮した壮大な交響詩「ローマの松」という、対照的な作風による代表作を楽しめる。

 コンサートは4曲プログラムで、後半の「ローマの松」の前には、同じくイタリアのプッチーニから歌劇《マノン・レスコー》第3幕 間奏曲を。切なくも情感豊かな旋律が熱く盛り上がる間奏曲の名品で、弦楽器のソロも活躍する。前半は「鳥」の後に、清水和音を迎えてショパンのピアノ協奏曲第2番を。円熟の巨匠がいま奏でるショパン、しかも抒情性が光る第2番で、ピアノという楽器の深みと美しさを再認識できる時間となる。

 指揮者は近年活躍の際立つ、マカオ出身のリオ・クオクマン。アジアに留まらず世界的に評価が高く、現在スロヴェニア放送響、マカオ管、香港フィルで主要ポストにあり、昨年から関西フィルのアーティスティック・パートナーも務めている。他の日本の楽団にも客演の度に好評を重ねるクオクマンが、好調の東京シティ・フィルとの共演でいかに幅広い表現を引き出すのか、注目したい。

文:林 昌英

(ぶらあぼ2026年5月号より)

リオ・クオクマン(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 第386回 定期演奏会 
2026.9/30(水)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 
https://www.cityphil.jp


林 昌英 Masahide Hayashi

出版社勤務を経て、音楽誌制作と執筆に携わり、現在はフリーライターとして活動。「ぶらあぼ」等の音楽誌、Webメディア、コンサートプログラム等に記事を寄稿。オーケストラと室内楽(主に弦楽四重奏)を中心に執筆・取材を重ねる。40代で桐朋学園大学カレッジ・ディプロマ・コース音楽学専攻に学び、2020年修了、研究テーマはショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲。アマチュア弦楽器奏者として、ショスタコーヴィチの交響曲と弦楽四重奏曲の両全曲演奏を達成。