
右:コンラッド・タオ ©Brantley Gutierrez
オランダ出身の指揮者ヤープ・ヴァン・ズヴェーデンがNHK交響楽団の定期に初登場する。彼は10代でアムステルダム・コンセルトヘボウ管のコンサートマスターとして活動を始め、その後、指揮者に転向。まずオランダのオーケストラ、2008年からはアメリカのダラス響、2018年からはニューヨーク・フィルを率い、アジアでも香港フィルやソウル・フィルの音楽監督、長栄響(台湾)のアーティスト・イン・レジデンスを務めるなど、欧米とアジアで活躍する珍しい存在である。2026/27年シーズンからはフランス放送フィルの音楽監督に就任する予定だ。
今回は1994年生まれのコンラッド・タオ(イリノイ州生まれの中国系アメリカ人)がモーツァルト「ピアノ協奏曲第17番」を弾くのも注目だ。彼はピアノだけでなく、ヴァイオリンも演奏し、作曲家としても活動するというマルチ・アーティスト。“21世紀のモーツァルト”とも言えそうだし、ズヴェーデンもその才能を絶賛して、共演を重ねている。
ズヴェーデンはバルトーク「管弦楽のための協奏曲」を取り上げるが、この曲はベルリン・フィルへのデビュー、シカゴ響、ニューヨーク・フィルでも取り上げた、いわば彼の十八番と言える作品。香港フィルと《指環》全曲録音を行うなどワーグナーも得意としており、はじめに置かれた楽劇《ニュルンベルクのマイスタージンガー》前奏曲も聴き逃せない。発見の多いコンサートになりそうだ。
文:片桐卓也
ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン(指揮)NHK交響楽団 第2067回 定期公演 Aプログラム
2026/6/13(土)18:00、6/14(日)14:00 NHKホール
問:N響ガイド 0570-02-9502
https://www.nhkso.or.jp

片桐卓也 Takuya Katagiri
1956年8月、福島県生まれ。早稲田大学在学中からフリーランスとして仕事を始め、映画、旅、自動車などの雑誌に関わる。1990年ごろから本格的にクラシック音楽関係の取材を始め、音楽雑誌に寄稿している。他に、コンサートの曲目解説、録音のライナーノーツの執筆なども多数。余裕があれば、バロック期のオペラを聴きにヨーロッパへ出かけている。趣味は都会の廃墟探訪。
