レアにして絶妙な音の調合を味わう
「春の祭典」や「悲愴」交響曲の出だしなどでおなじみの低音木管楽器ファゴット。奏者にとっては常道ながらも一般ファンには珍しい同楽器のクァルテットが日本公演を行う。その名は「アッサンブラージュ」。アクセル・ベノワ(ローザンヌ室内管首席)、助野由佳(ベルン響。今年9月よりパリ管に入団予定)、西ノ村徳仁(ベルン響副首席)、野村和代(愛知室内オーケストラ)の4名によるアンサンブルで、西ノ村が共にスイスで働く友人のベノワと企画し、ベルン響の同僚の助野、愛知県立芸術大学の先輩の野村を加えて結成したという。「アッサンブラージュ」は元々美術用語だが、彼らはワイン用語における「異なった土地や収穫日、異なったぶどう品種を調合する作業」の意味合いで命名。西ノ村は「『アッサンブラージュされたワインは複雑で調和がとれており、優れたものとなっている』と言われるように、音楽的な意味合いでもピッタリの名前」と述べている。
柔らかく艶やかながらも素朴な音色をもち、シリアスな表現もできれば、コミカルな表現では随一ともいえるファゴットが4本揃ったアンサンブルには興味津々。四重奏のオリジナル曲はもとより、「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」「ロザムンデ」など有名曲のアレンジもの、モーツァルトのファゴット協奏曲の四重奏版ほか演目も多彩で、コントラファゴットをフィーチャーしたフチークの「小言の多いおじいさん」あたりも実に面白そう。重層感や温かみや歯切れ良さを併せ持った個性的サウンドを、ぜひ生体験したい。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2019年8月号より)
2019.8/12(月・休)14:00 JTアートホール アフィニス
8/14(水)19:00 大阪/ザ・フェニックスホール
8/15(木)19:00 愛知/電気文化会館 ザ・コンサートホール
問:プロアルテムジケ03-3943-6677
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