2009年にそれぞれ国際コンクールを制した三浦文彰と辻井伸行。16年にデュオとして初共演して意気投合、各地で共演を重ねてから臨んだ録音は、フランクとブラームス第1番というロマン派の二大ヴァイオリン・ソナタ。ピュアな音色、瑞々しい感覚で名作を見直し、虚心に心を通わせることで、まっすぐな音楽性が光る美演が生まれた。フランクはロマンに溺れることなく、本作が持つ古典性をしっかり押さえる。ブラームスは彼らのスタイルにさらに合致。俊英たちの誠実な音作りから、40代の作曲者が青春時代を回想しているかのような風情すら漂い、作品と演奏の魅力にため息。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2019年8月号より)
【information】
CD『フランク:ヴァイオリン・ソナタ、ブラームス:ヴァイオ リン・ソナタ第1番「雨の歌」/三浦文彰&辻井伸行』
フランク:ヴァイオリン・ソナタ
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第1番「雨の歌」
三浦文彰(ヴァイオリン)
辻井伸行(ピアノ)
エイベックス・クラシックス
AVCL-25991 ¥3000+税