キリル・ペトレンコがベルリン・フィルのシーズン・ラインナップを発表

キリル・ペトレンコ
C)Stephan Rabold

 今年8月、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者に就任するキリル・ペトレンコが4月29日に記者会見を開き、就任最初の2019/20シーズンの内容を発表した。ペトレンコは39回のコンサートと5回のオペラ公演を行う。登壇する回数がやや少ないのは、バイエルン国立歌劇場の音楽総監督の任期(2019/20シーズンまで)と重なるため。

 8月23日の就任演奏会ではベートーヴェン「第九」が演奏される。これについてペトレンコは「人類を代表する音楽、人間の酸いも甘いも包括し、表現した音楽があるとすればベートーヴェンの『第九』だと思います。私とベルリン・フィルの新しい時代の幕明けにふさわしい」と述べた。2020年の楽聖生誕250年記念イヤーには《フィデリオ》(演奏会形式)と「ミサ・ソレムニス」も演奏するなど、ベートーヴェンを主軸とするプログラムに意欲的だ。この「第九」はベルリンの壁崩壊30周年を記念して、8月24日に東西分断の象徴であるブランデンブルク門前での野外コンサートでも演奏される。

 完全主義者ゆえ、自らのレパートリーを限定することで知られるマエストロだが、ベートーヴェン以外では、マーラーの交響曲第4番、同第6番、B.A.ツィンマーマンの「アラゴアーナ」、スークの交響曲「アスラエル」、ストラヴィンスキーの3楽章の交響曲、ラフマニノフの交響的舞曲、ガーシュウィン「パリのアメリカ人」などアメリカ作品、また、近現代や東欧の演奏頻度の少ない作品も取り上げる。また、チャイコフスキーの交響曲第5番、シェーンベルクのヴァイオリン協奏曲(独奏:パトリシア・コパチンスカヤ)を携えてのドイツ国内ツアーも行う。

 同楽団についてペトレンコは「私にとって絶大なエネルギーの源です。私が志していることは、彼らの圧倒的な力に正しいあり方で向き合い、正しい流れに向けてゆくことです。私は演奏会の“生”の瞬間こそが、秘められていたものが奔流となって流れる場所だと思うのです」と語る。レコーディングには慎重な姿勢をくずさないが、今後、同楽団とは録音活動を行う模様で、第1弾として17年3月にライヴ収録されたチャイコフスキー「悲愴」がCDとしてリリースされることも報じられた。ベルリン・フィルはペトレンコの就任の前に、彼の話題を集めた特設ページを設けた。前記「悲愴」CD抜粋を聴けるほか、同楽団の映像配信サービス「デジタル・コンサートホール」の演奏映像を無料で視聴できるプレイリストを公開している。

ベルリン・フィル/キリル・ペトレンコ公式特設ページ
https://www.petrenko-live.de/

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