共鳴し合う、ウィーン古典派2人の名ソナタ
底鳴りする低音を味方につけたかと思えば、次の瞬間には、戯れる子どものような軽やかさを伴って。まさに変幻自在の音楽創りに、一瞬たりとも“耳”が離せない。
モダンとピリオド、両方の楽器の個性をきっちりと弾き分けつつ、自身のしなやかな感性を反映した瑞々しい響きを紡ぎ出すオランダの鬼才、ロナルド・ブラウティハム。ルドルフ・ゼルキンら伝統的ピアニズムの巨匠らに学ぶ一方、フォルテピアノ演奏では、その表現の可能性の限界に挑み続けてきた。
今回は、ウィーンの名工アントン・ワルター製作の銘器(1800年頃)をモデルとして、アメリカ出身のポール・マクナルティが手掛けた、レプリカのフォルテピアノを使用。 セレクトされたのは、第3番と第21番「ワルトシュタイン」、ベートーヴェンの2つのハ長調作品に、ハイドン晩年の第49、第52番と2つの変ホ長調作品。4つの名ソナタが鬼才の強烈な個性で結び付けられ、やがて不思議な共鳴を呼び起こしてゆく。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2019年5月号より)
2019.5/15(水)19:00 トッパンホール
問:トッパンホールチケットセンター03-5840-2222
http://www.toppanhall.com/