セバスティアン・ヴァイグレ(指揮) 読売日本交響楽団

独墺の勝負曲で新時代が始まる

セバスティアン・ヴァイグレ
C)読響

 読響の新時代が幕を開ける。この4月、ドイツの名指揮者セバスティアン・ヴァイグレが第10代常任指揮者に就任。フランスの鬼才カンブルランの後を受け、独墺文化圏に根ざす新たな視座で、読響のキャパシティを拡大させる。
 ベルリン国立歌劇場管の第1ソロ・ホルン奏者から転向したヴァイグレは、バレンボイムの薫陶を受け、2008年フランクフルト歌劇場の音楽総監督に就任。同劇場はドイツの専門誌から15年と18年の最優秀歌劇場に選ばれるなど、その手腕が高く評価されている。バイロイト音楽祭やウィーン国立歌劇場ほか著名どころへの客演も多数。読響とは16年の3プログラムと17年の東京二期会《ばらの騎士》で共演し、相性の良さからシェフ就任と相成った。
 就任披露となる5月の定期は、ヘンツェの「7つのボレロ」とブルックナーの交響曲第9番。ヴァイグレは「新時代の始まりには自らの出自を紹介し、独墺の音楽史に取り組む姿勢を発信したい」と話していたが、激烈なサウンドが連続する快作と天上へ向かう至高の名作の組み合わせは、とりわけ意欲的だ。しかも「7つのボレロ」は、00年カナリア諸島音楽祭において、読響がG.アルブレヒトの指揮で世界初演を行った作品、ブルックナーの第9番は、歴代シェフの尾高忠明、アルブレヒト、スクロヴァチェフスキ、カンブルランが各々のアプローチで演奏してきた、いわば根幹のレパートリー。楽団の歴史も踏まえた開幕の選曲が心憎い。思えば読響は元々独墺物が十八番。それゆえ精緻かつ豊穣な今の同楽団で聴く、ドイツ王道指揮者の音楽への期待は大きい。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2019年5月号より)

第588回 定期演奏会 
2019.5/14(火)19:00 サントリーホール
問:読響チケットセンター0570-00-4390 
https://yomikyo.or.jp/

  • La Valseの最新記事もチェック

    • 勉強することが好き。調べることが好き〜アマランタをめぐって| ヴィタリの心の歌 第6回
      on 2020/01/24 at 02:49

      F.P.トスティの作品は歌曲だけでも350以上です。あるインタビューのときに「トスティの歌曲の魅力、彼の特徴は何ですか?」と聞かれて、私はすぐに答えました。「トスティの歌曲の中で美しくない曲はありません」。 もちろん、「ラ・セレナータ」「マレキアーレ」など、カンツォーネのような曲が一番知られているけれど、トスティの素晴らしい才能をきちんと理解するためには彼の芸術歌曲を聴いた方がいいと思います。特に [&#8230 […]