近藤伸子 ベートーヴェンシリーズ Ⅰ

作曲家に深く没入し、作品の本質に迫るピアニストが新シリーズを始動

 近藤伸子は、シュトックハウゼンをはじめとする現代作品の紹介に力を注ぐ一方、古典作品でも秀演を重ね、足掛け17年に及ぶ大バッハの鍵盤作品シリーズを2015年に完結させた実力派ピアニスト。全32曲のソナタを軸に、「ディアベッリ変奏曲」など主要ピアノ作品や室内楽も取り上げる、ベートーヴェンシリーズを新たにスタートさせる。
 第1回では、楽聖が若き日に作曲したピアノ・ソナタ第1番を。そして、40代後半で完成され、当時の最新型ピアノの表現力を最大限に生かした後期の大傑作、ソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」を披露。さらに、佐藤まどか(ヴァイオリン)と藤森亮一(チェロ)、2人の弦の名手を迎えて、ピアノ三重奏曲第1番を弾く。
 ベルリン芸大などに学び、20世紀のピアノ作品シリーズを手掛けるなど、先鋭的な演奏活動を展開する一方、国立音大教授として、後進の指導にもあたる近藤。2017年からの1年間、大学の長期国外研究員としてベルリンに滞在し、ベートーヴェンの作品研究とコンサートを行った。帰国後の初リサイタルともなる今回。その成果も存分に反映されるだろう。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2019年2月号より)

2019.3/5(火)19:00 東京文化会館(小)
問:東京コンサーツ03-3200-9755
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