飯守泰次郎(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

ドイツ音楽に深く傾倒するマエストロによるブラームス演奏の集大成

飯守泰次郎
C)金子 力
 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団桂冠名誉指揮者、飯守泰次郎が、同楽団とともに取り組むブラームス交響曲全曲演奏シリーズの第2回が、2019年1月11日に東京オペラシティコンサートホールで開催される。18年1月の第1回では交響曲第2番と第4番が取り上げられたが、今回は第3番と第1番が演奏される。
 飯守は、18年夏で新国立劇場オペラ芸術監督の大任を果たし、同年4月に仙台フィルの常任指揮者に就任するなど、以前にも増して積極的に指揮活動を行っている。また、昨シーズン、新国立劇場でワーグナーの《神々の黄昏》とベートーヴェンの《フィデリオ》を指揮し、18年7月の東京シティ・フィルの定期演奏会でブラームスの「ネーニエ(悲歌)」とブルックナーのミサ曲第3番を取り上げたように、近年ますますドイツ音楽へ傾倒し、その演奏内容を深めている。
 今回の演奏会で、飯守は、哀愁に満ちた第3楽章を含むなど、ブラームスの4つの交響曲のなかで最もロマンティックと言われる第3番をどう描くのだろうか。そして、シリーズ最後の第1番は飯守のブラームス演奏の集大成となるだろう。指揮者として円熟の境地にある飯守の音楽的意図を最も忠実に再現できるオーケストラは、1997年の常任指揮者就任以来、20年以上密接な関係にある東京シティ・フィルにほかならない。今回のブラームス交響曲全曲演奏シリーズの完結はそんな両者にとっての大きな一つの節目となるに違いない。
文:山田治生
(ぶらあぼ2019年1月号より)

第321回 定期演奏会
2019.1/11(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 
http://www.cityphil.jp/