第16回ヘンデル・フェスティバル・ジャパン ヘンデル オラトリオ「ソロモン」

壮麗な合唱と管弦楽で描く賢王の栄華


 大作曲家の新たな魅力への扉がまた一枚、開かれる。「メサイア」だけでは語り尽くせぬ、ヘンデルの作品の多様性を紹介することを目的に、2002年にスタートしたヘンデル・フェスティバル・ジャパン(HFJ)。16回目は、美しいアリアと壮麗な二重合唱が散りばめられ、絢爛豪華な雰囲気に満ちたオラトリオ「ソロモン」全3幕をノーカット上演する(演奏会形式)。
 「ソロモン」は1749年、ロンドンで初演。全曲に一貫したストーリーはなく、古代イスラエルの賢王ソロモンのそれぞれ独立したエピソードが語られる。全13曲が置かれた合唱曲のほとんどが二重合唱から5声を採り、大規模な管弦楽を伴って、祝祭的な雰囲気を創出。さらに、第3幕冒頭では、有名な器楽曲「シバの女王の入城」も。すなわち、この作品は、国王ジョージ2世のための「戴冠式アンセム」(1727年)と同じく、“神から王に任じられた者を賛美する”作品とも。さらに、理想の君主ソロモンを描くことで、作曲家がこの曲を通じて「ジョージ2世に最大限の賛辞を送った可能性」(チラシより)もある。
 今回も、ヘンデル研究の第一人者でHFJ実行委員長、三澤寿喜が指揮を務める。主役ソロモンの波多野睦美をはじめ、広瀬奈緒(王妃ほか)、隠岐彩夏(シバの女王ほか)、辻裕久(祭司ザドク)、牧野正人(レビ人)ら実力派ソリストが集結。さらに、コンサートマスター川久保洋子をはじめ、国際的に活躍する日本人ピリオド楽器奏者らで組織されたキャノンズ・コンサート室内管弦楽団&合唱団の布陣で臨む。また、初演当時に倣い、幕間では勝山雅世によるオルガン演奏も付される。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2019年1月号より)

2019.1/14(月・祝)15:30 浜離宮朝日ホール
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