アレクセイ・リュビモフ ピアノ・リサイタル 〜ヒストリカル・インストルメントを求めて〜

ロシアの鬼才がショパンの愛したピアノを弾く特別な一夜

C)F.Sechet
 歴史的演奏法の興隆を受け、ポーランド国立ショパン研究所が「ショパン国際ピリオド楽器コンクール」を新たに創設。今年9月にワルシャワで第1回を開催、今後は5年ごとに実施される。その審査員の一人に選ばれたのが、世界的な名ピアニストとして活躍する一方で、ロシアにおける歴史的鍵盤楽器の先駆者としても知られるアレクセイ・リュビモフ。審査員就任を記念し、エラールのフォルテピアノを駆り、ショパン「バラード」など珠玉の名曲を弾くリサイタルを開く。
 リヒテル亡き後、ロシア・ピアニズムを体現できる“最後の巨匠”と目されるリュビモフは、ソビエト時代からシェーンベルクやシュトックハウゼンなど、20世紀作品をロシア初演するなど、モダン・ピアノで先鋭的な活動を展開。と、同時に早くから歴史的鍵盤楽器の演奏にも手を染め、フォルテピアノでモーツァルトやショパンを録音。エイジ・オブ・インライトゥメント管弦楽団など、主要な古楽アンサンブルとも共演を重ねている。
 今回のリサイタルでは、サントリーホールが“秘蔵”する、1867年製エラールを使用。パリのエラール社製の楽器は、ショパンなどが愛用したことで知られる。その特徴は、何といっても、現代の楽器には決して出せない、まろやかな音色。印象的な響きを操り、ショパンの「バラード」全4曲やベートーヴェン「ソナタ第30番」、ドビュッシー「前奏曲集」からの抜粋を紡ぐ。また、第1回ショパン国際ピリオド楽器コンクールで、第2位となった川口成彦がゲスト出演することが急遽決定。リュビモフとの連弾などを披露する、内容盛りだくさんのステージとなる。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2018年11月号より)

2018.11/2(金)19:00 サントリーホール ブルーローズ(小)
問:M.C.S.Young Artists 050-3479-9826 
http://www.mcsya.org/