ロシアの鬼才がショパンの愛したピアノを弾く特別な一夜
リヒテル亡き後、ロシア・ピアニズムを体現できる“最後の巨匠”と目されるリュビモフは、ソビエト時代からシェーンベルクやシュトックハウゼンなど、20世紀作品をロシア初演するなど、モダン・ピアノで先鋭的な活動を展開。と、同時に早くから歴史的鍵盤楽器の演奏にも手を染め、フォルテピアノでモーツァルトやショパンを録音。エイジ・オブ・インライトゥメント管弦楽団など、主要な古楽アンサンブルとも共演を重ねている。
今回のリサイタルでは、サントリーホールが“秘蔵”する、1867年製エラールを使用。パリのエラール社製の楽器は、ショパンなどが愛用したことで知られる。その特徴は、何といっても、現代の楽器には決して出せない、まろやかな音色。印象的な響きを操り、ショパンの「バラード」全4曲やベートーヴェン「ソナタ第30番」、ドビュッシー「前奏曲集」からの抜粋を紡ぐ。また、第1回ショパン国際ピリオド楽器コンクールで、第2位となった川口成彦がゲスト出演することが急遽決定。リュビモフとの連弾などを披露する、内容盛りだくさんのステージとなる。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2018年11月号より)
2018.11/2(金)19:00 サントリーホール ブルーローズ(小)
問:M.C.S.Young Artists 050-3479-9826
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