シュツットガルト・バレエ団 2018年日本公演

新たに生まれ変わった名門バレエ団の十八番を

 物語バレエの傑作で知られる天才振付家、ジョン・クランコが率いたドイツの名門カンパニー、シュツットガルト・バレエ団による待望の日本ツアーだ。
 1960年代、このバレエ団を世界レベルにまで引き上げ、73年に45歳の若さでこの世を去ったクランコの遺産を脈々と受け継いできた彼らだが、この9月には往年のスター・ダンサー、タマシュ・デートリッヒが新芸術監督に就任、まさに新時代への幕開けのさなかでの日本ツアー実現となる。着任直前の8月上旬、東京で記者会見にのぞんだデートリッヒは、「マリシア・ハイデのもとで20年、リード・アンダーソンのもとで22年と、素晴らしい芸術監督とともに仕事ができた。クランコのバレエを継承しながら、同時に、リスクを取って新たな挑戦をしていきたい」と新シーズンへの思いを明かしていた。
 今回上演される2つのクランコ作品も、彼らがずっと大切に上演を重ねてきた、いわば十八番。文豪プーシキンの韻文小説をもとに創作された『オネーギン』(1965)は、世界中のダンサーたちが演じることを夢見るという特別な作品だ。演劇的バレエの最高峰といわれるだけに、スターたちの連日の競演をしかと目に焼き付けたい。また『白鳥の湖』(1963)は、もとは誰もが知る古典だが、のちにルドルフ・ヌレエフ版にも影響を与えたといわれる衝撃的な展開に天才振付家独自の解釈が光る。福岡、西宮でも上演を予定、クランコ版の魅力を劇場でじっくり堪能したい。
文:加藤智子
(ぶらあぼ2018年10月号より)

『オネーギン』 2018.11/2(金)〜11/4(日) 
『白鳥の湖』 2018.11/9(金)〜11/11(日)
東京文化会館
問:NBSチケットセンター03-3791-8888 
http://www.nbs.or.jp/
※配役、全国ツアーの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。